2018 Fiscal Year Research-status Report
Developing an Instructional Model for an Effective Extensive Reading Program Based on Second Language Acquisition Research
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18K00899
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Research Institution | Hokkaido Musashi Women's Junior College |
Principal Investigator |
岩田 哲 北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30789706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英語多読 / 英文読解力 / グレーデッド・リーダース |
Outline of Annual Research Achievements |
多読の効果を検証した研究は数多く存在するが、多読とそれ以外の活動(精読など)を比べ、統制群が存在しないものがほとんどであり、効果検証が難しいことが指摘されている(Robb & Kano, 2013)。日本の研究では、多読への動機づけや英語学習への態度向上に関する報告が多い(Takase, 2007)。多読を通じ、読解力や読みの速さが増したという報告もあるが、どの程度の量を読めばどの程度の読解力の向上が見られるのかについて扱った研究はほとんど見られず、多くの場合指導者の経験と感覚に基づいて、英語力が伸びる語数が述べられているのみである(鈴木, 1996;高瀬, 2008)。本年度の研究では、読解力の向上について実験群と統制群を立てて、多読が読解力に与える効果を検証した。参与者は非英語専攻の学生で、英語熟達度が高く、多読を行なわず、伝統的な訳読式授業を用いるグループ(A)と、(A)グループよりも英語熟達度は低いが、授業内外で多読を行い、アウトプットを重視する授業を行うグループの中で最終的に読んだ語数が5万語以上のグループ(B)と5万語以下のグループ(C)の3グループについて、指導の前後の4月と12月で、テスト(GTECリーディング)、アンケートを行い、読解力向上を比較した。テストの結果はSPSSを使用した共分散分析(ANCOVA)を行った。結果はグループ(A)が(C)に対して優位に好成績を収め、グループ(B)と(A)の間とグループ(B)と(C)の間には有意差はなかった。テストの形式にもよるが、読解力養成には最低でも5万語以上の多読が必要な可能性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指導の前後の試験(GTEC)を予定通り行い、M-Readerシステムを使い、読書語数の記録も予定通り行った。今年度はデータの収集を予定していたため、ほぼ予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度とったデータの分析と論文の執筆を行うとともに、新たな研究として、多読量が語彙サイズにどのような影響を及ぼすかについて検証する予定である。長期にわたる多読活動が偶発的な語彙習得に与える影響について、事前に覚えるべき目標語を決めるのではなく、活動前後の語彙サイズを測ることで検証する。具体的には来年度に、非英語専攻の学生で、英語熟達度が高く、多読を行なわず、伝統的な訳読式授業を用いるグループ(A)と、(A)グループよりも英語熟達度は低いが、授業内外で多読を行い、アウトプットを重視する授業を行うグループの中で最終的に読んだ語数が5万語以上のグループ(B)と5万語以下のグループ(C)の3グループについて、コース開始時と終了時に、日本人学習者向けの語彙サイズテスト(Mizumoto, 2005)とアンケート調査を行い、多読の有無と読んだ語数によって偶発的語彙学習による語彙サイズの変化を共分散分析(ANCOVA)を用いて比較する。
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Causes of Carryover |
国際学会出席のための航空機及びホテルの手配を早期に行い、経費を節約することができたために残額が生じた。次年度の国際学会参加費用などに充当し使用する予定である。
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