2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing an Instructional Model for an Effective Extensive Reading Program Based on Second Language Acquisition Research
Project/Area Number |
18K00899
|
Research Institution | Hokkaido Musashi Women's Junior College |
Principal Investigator |
岩田 哲 北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30789706)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 英語多読 / 動機づけ / 自己決定理論 / グレーデッド・リーダーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
多読がリーディングに対する動機づけを向上させることは広く知られている(e.g.Yamashita, 2013)。しかし、EFLの環境での英語学習そのものに対する動機づけへの影響については研究が不十分である。本研究は多読が英語学習の動機づけが比較的高い学習者(英語専攻)と、あまり高くない学習者(非英語専攻)に対して、どのような動機づけに影響を及ぼすかについて自己決定理論の枠組みで考察した。指導の前後でアンケート調査を行い、内発的動機づけと併せ、外発的動機付けを、同一視的調整、取入れ的調整、外的調整の3つに分け調査した。参与者は英語専攻84名、非英語専攻75名で、英語熟達度と英語学習への動機づけには指導前のアンケートで差がみられた。具体的には英語専攻の92%は英語学習に意欲的であったが、非英語専攻では31%にとどまった。アンケート調査は内発的動機付けと外発的動機付けにつながる、合わせて4つの上記調整について指導前後に同じ質問項目について5件法で問い、さらに事後アンケートでは、コース全体に対する自由記述のアンケートと併せ、自律性、有能性、関係性の3欲求の充足度についても調査を行った。結果は、英語専攻学習者については内発的動機付けのほかに、同一視的調整、外的調整が有意に高まり、非英語専攻学習者は同一視的調整と取入れ的調整が有意に高まった。アンケートとインタビュー結果から、英語専攻学習者は自立性、有能性、関係性の3欲求に対する充足性が高いことが示唆された。結論として、多読指導は比較的動機付けの高い学習者(英語専攻)には効果的であるが、それほど動機づけの高くない学習者(非英語専攻)には動機づけの高い学習者ほどの効果は得られない可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに集めたデータは論文にしてまとめ、投稿中である。本年度はコロナウイルスの影響で、十分なデータを集めることができず、予備調査の段階にとどめた。研究内容はイギリス応用言語学会での発表を予定していたが、コロナウイルスの影響で1年間開催延期となったため、発表は行えなかった。1年間の研究期間延長を申請し、認められているため、コロナウイルスの影響を加味しながら、データを取り直し、論文化し、当初計画に追いつけるよう努力したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
外国語として英語を学習する環境では、学習者の動機づけの強さが成功への大きな鍵になる。今後の研究では、前年度の研究を踏まえ、非英語専攻の学習者に注目し、多読が英語学習の動機づけに与える影響について、自己決定理論の枠組みで検討を行う。アメリカ応用言語学会(AAAL)への参加や開催が1年延期となったイギリス応用言語学会(BAAL)等での発表を予定しているが、開催の可否がはっきりしていない。国内の全国英語教育学会(JASELE)長野研究大会はオンラインで開催が決定していることから、当学会でも発表を予定している。コロナウイルスの影響により、1年間の研究期間延長が認められたため、今までの研究を論文化して発表するとともに、新たにデータを取り直して、研究のまとめとしたい。
|
Causes of Carryover |
イギリス応用言語学会(BAAL)、大学英語教育学会(JACET)、全国英語教育学会 (JASELE)をはじめとする学会が、コロナウイルスの影響ですべて中止となり、予定していた発表も中止となったことが大きく影響している。学生の登校が困難となり、オンライン授業が主体となったため、オンラインを使ったデータ収集なども今後は検討し、学会発表のための旅費が主な未使用となった項目であり、それらをオンライン研究環境整備にも利用することを検討したい。
|
Research Products
(2 results)