2020 Fiscal Year Research-status Report
The Formation and Transformation of Legal-Cultural Spheres and the 20th-Century United States
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18K00914
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
石井 紀子 上智大学, 外国語学部, 教授 (60407385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小滝 陽 関東学院大学, 国際文化学部, 講師 (00801185)
今野 裕子 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (10707623)
佐藤 雅哉 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (30816319)
牧田 義也 上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (90727778)
上田 朋広 (上林朋広) 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (70876250)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ / 法文化圏 / トランスナショナル・ヒストリー / 20世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、20世紀のアメリカ合衆国(以下アメリカと略記)および関連諸地域における法秩序・規範の編成過程を、トランスナショナル・ヒストリーの観点から考察する。この時期、人・制度・思想の国際的な移動や移転が加速した結果、共通の価値体系に基づく「法文化圏」が複数の国や地域に跨って形成された。こうした法文化圏の境界線上で引き起こされた事象に着目することで、対象地域における法秩序や規範が、国境を越えて形成・更新・拡張された過程を検証するのが本研究の狙いである。 近年のアメリカ史研究においては、トランスナショナル・ヒストリーや大西洋史研究などで蓄積された議論を土台とし、統治上の境界線を越えた広範な地理的空間からアメリカの歴史を捉え直すことが定着しつつある。本研究はこの流れを汲みつつ、特に法的概念や規範にまつわる価値観を共有する越境的な文化圏を分析枠組の基礎として措定しており、ヒト・モノ・カネの国際移動が大規模化した近代世界において、異なる法規範が国境を越えて相互に影響する様を、20世紀アメリカを中心とするさまざまな展開の中に読み解く新しい試みである。 3年目にあたる2020年度には、各研究者が論文執筆と修正を行う一方で、関連する文献について討論を重ねた。計6回の研究会では、個別の事例研究に対する相互評価を行った。また、計5回実施された読書会では、法文化や人道・人権史に関する論文及び研究書を精読した。以上の協業により、「法文化圏」理論をより精緻化させ、帝国史やトランスナショナル・ヒストリーとは一線を画す新機軸の概念について整理を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は世界的な感染症拡大のため、国内外での実地調査が困難な状況が続いた。これにより、一部の分担者は論文の執筆に必要な追加調査を実施することができなかった。論文集の刊行も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き感染症によって研究の遂行が困難な状況が予想される。追加調査を行うことができない分担者については、当初の想定より対象を絞るなどの対応を検討する。 一方で、引き続き読書会や研究会を実施し、法文化圏やトランスナショナル・ヒストリーに関する知見を深めてゆく。 さらに、2021年度中の論文集出版を目指し、各自が論文の修正を重ねる。
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Causes of Carryover |
感染症拡大防止のため旅行や宿泊を伴う実地調査を控えたことにより、当該年度の支出が抑えられたことが次年度使用額発生の最大の原因である。 また、研究会や読書会をすべてオンラインで行ったため、会議費の支出が抑制された。 次年度は、引き続き感染症対策の観点から大規模な海外調査の実施は難しいことが予想される。このため、オンライン環境の整備や関連図書の購入を行いつつ、状況に応じて実地調査再開に向けた準備を行う。
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Research Products
(16 results)