2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00920
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
伊藤 俊介 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (10737878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 努 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任教授 (70468841)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本史 / 東アジア史 / 大衆娯楽 / 他者認識 / 唐人祭り / 新派劇 / 浪花節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、前年度に引き続き研究代表者(伊藤俊介)と研究分担者(須田努)がそれぞれ設定した3つのテーマ(①「「唐人踊り」「唐人祭り」にみる朝鮮認識」、②「戦争芝居に描かれた中国朝鮮像」、③「浪花節に語られたナショナリズム」)をさらに進化させるべく検討を進めた。まず5月に研究協力者2名を交えてカンファレンスを開き、研究の進展状況の確認をし、2019年度の進展目標を設定した。その後、各研究者は自らの研究テーマのもと史資料の調査を進めた。研究代表者の進展状況について②のテーマを例に述べると、川上音二郎が手掛けた戦争芝居「川上音二郎戦地見聞日記」の脚本の内容分析はほぼ終え、そこに描かれた当時の日本人の中国・朝鮮への眼差しや、民衆の戦争に対する認識についての分析に入っている段階である。 また、2019年度は明治期の大衆娯楽に関するフィールドワークを積極的に行った。研究者間の問題意識を共有できるよう、可能な限りすべてのメンバーが参加することとした。7月には愛知県で川上貞奴の旧邸や明治期に建てられた芝居小屋などを巡見し、当時の芝居文化に対する理解を深めた。9月には福岡県に行き、福岡市立図書館で川上音二郎に関する資料調査を行うとともに、川上の芝居のルーツとなる福岡の郷土芸能に対する見聞を広めた。さらに同じく9月にはイギリスに赴き、19世紀末に川上音二郎一座が興行を行ったコロネット座をはじめとしたロンドン市内に現存する劇場を巡見し、また当時の演目や現地の評判などについての調査も行った。 これらの研究活動を経て2月に研究報告会を開き、各研究者の研究進展状況を報告し合うとともに、最終年度となる2020年度の目標設定と研究成果報告の方法などについて意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①~③のテーマを担当する各研究者の史資料調査と検討作業はとても順調に進んでいる。史資料の収集はほぼ終えた段階まで来ており、今後はそれらの分析と検討を中心に作業を進めていく。フィールドワークは当初東日本地域を中心に行う予定であったが、各研究者の問題関心と連関する資料の所在が西日本地域に集中していたため2019年度も西日本地域を中心に調査を行った。なお海外の研究者の招聘は諸事情により実施できなかった。次年度に実施が可能かも含めて研究者間で検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は最終年度となるため、これまで各研究者が担当してきた研究内容を論文などの成果物として発表できるように整理作業を進めていく。そのために、当該年度は数回にわたって研究会を開くことを予定している。研究会では各人の進展状況をその都度確認するとともに、それぞれの研究がより精度の高いものとなるよう、それらの問題点等を指摘し合あおうと考えている。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた勉強会と現地調査が新型コロナウィルスの影響で取りやめたため次年度使用額が生じた。翌年度にこれらの勉強会と現地調査を実施する際に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)