2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on historical source material of the Japanese Labour
Project/Area Number |
18K00921
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三宅 明正 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 名誉教授 (30174139)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 労働史 / 日本近現代史 / 史料公開 / 企業文書 / 労働組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を組織する三宅明正は、1970年代の後半から日本各地の企業(事業所)や労働組合を訪れて、これまで一般には利用されてこなかった日本の労働史にかかわる史資料を調査収集し、それらをもとに研究成果を公表してきた。1990年代からは、そうした日本国内の史資料に加え、諸外国、主にはアメリカの文書館や労働団体が所蔵する日本労働史の史資料を探し出し、それらも利用して研究を重ねた。こうした作業を通して、日本の労働者には客観的にも主体的にも「従業員」という性格が強くうかがわれ、それは労使の相互作用によって歴史的に形成されたことを、具体的に明らかにしてきた。 三宅が集めた史資料には、初めて紹介されたものを含めて貴重なものが多く、日本内外の研究者から、三宅本人の他、成果を公開した学術雑誌の発行元や学会事務局、さらに長く本務校であった千葉大学の図書館などに、照会がなされてきた。史資料の所在、閲覧の可能性、三宅が保持している形態(マイクロフィルム、コピー、筆写など)に関してである。三宅は可能な限り他者による史資料の利用に協力してきた。 本研究は、これらの日本労働史に関する史資料を、補充調査を含めて分類、整理の上で電子媒体化し、学術研究のために広く利用可能な形にしようとするものである。 2018年度には八幡製鉄所、東芝堀川町工場など、マイクロフィルムで三宅が収集してきたものの整理、分類と電子化からまず進め、2019年にはそれらの作業に加えてアメリカの文書館群で集めた史資料を整理、分類し電子化する作業を行い、今日に至っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり史資料の整理、分類と電子媒体化を現在まで進めてきた。もっとも研究経費の都合があるため、収集した史資料すべてを電子媒体化することは出来ず、これまでに他者から照会の多かったものを中心に作業を進めてきている。2019年度には、日本国内だけでなくアメリカの文書館で補充調査を実施した。 さらに2019年度には、これらの史資料の、他者による利用を可能にする方法について、類似史資料の最大の所蔵機関である法政大学大原社会問題研究所のスタッフと相談し、電子媒体化したものを同所に寄託する方向での検討に入った。 以上からおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、これまでの作業を継続して史資料の分類ならびに整理と電子媒体化を進める。その過程で必要な補充調査を実施する。その上で他者による利用を可能にするための目録を整備し、公開の具体的な方法について、法政大学大原社会問題研究所のスタッフと協議して決定する。最終年度として研究全体の総括を行う。 以上によって、本研究はその目的を達成できると考える。
|
Causes of Carryover |
端数が生じたため、次年度経費と併せて書籍の購入費用に充てる。
|
Remarks |
本研究で扱った史資料を用いて、2019年7月31日午後7時からのNHKのニュースと、同8月24日のNHKのETV「三鷹事件」において、三鷹事件ならに占領下の労働についてインタビューに答え、現在までに明らかになっていることを述べた。
|