2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00923
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高嶋 朋子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (60600442)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 近代史 / 地方史 / 外地 / 同郷会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、日本統治期台湾での奄美諸島出身者の活動について詳細をまとめるまでには至らなかったが、基礎調査とそれをふまえた聞き取り調査へと着手へすることができた。しかし、諸事情で計画通りに進められなかった点もある。 まず、研究計画初年度に積み残した1945年以降の地方紙記事の確認作業は継続して順調に進め、注目すべき記事について関係者への聞き取り調査にも着手することができた。当初は仕事を求めて渡台した人々のファミリーヒストリーを想定していたが、今回は進学のために渡台して引揚後の米軍占領期に軍政府で働いた人物のライフストーリーを聞くことができた。占領期の奄美社会を知るうえで引揚者の存在は注目に値することが示唆される。 なお、当初計画していた大島郡喜界町からの渡台者に関する資料調査・聞き取り調査については、天候不良等で予定通りに現地に入ることができず、来年度に持ち越しとなった。そのため、喜界町での現地調査に資するべく、鹿児島県全体の外地への人的移動が県内各地域でどのように把握されているのか、また、旧大島郡出身の台湾引揚者による県内他地域への定住に関する情報がないかを中心に鹿児島県立図書館、霧島市国分図書館などでの調査を行った。 なお、本研究が柱とする、出郷者と故郷をつないだ雑誌『奄美大島』における対象記事群抽出作業に関しては、2020年1月に協力者から『月刊誌奄美大島縮刷版 上巻』(奄美社、1983年)の貸与を受けた。よって、縮刷版に収められた1925年11月の創刊号から1933年11月号については調査地まで出向かずとも確認作業を行えるようになり、データベース化して公開するための公開データ作成に着手できることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度3回の現地調査を予定していたが、このうち2回が計画通りに進められなかったため、進捗は遅れている。2回目の現地調査では天候不良による欠航で予定していた調査地のひとつに入ることができず、計画を変更した。また、3回目の現地調査は3月を予定していたが、調査地が島嶼部でしかも聞き取り調査には高齢者の協力を要するため、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から現地調査自体を中止とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を行う方向で調査することが前提ではあるが、今年度同様の理由で現地に入れなかった場合のことも想定し、雑誌『奄美大島』における対象記事群データベース構築のためのデータ整理を中心に進めていくこととする。
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Causes of Carryover |
現地調査を予定通りに行えなかったことが大きな理由である。次年度に計画しているデータベース構築とデータ作成作業、公開に関係する諸経費に充てる。
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Research Products
(1 results)