2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Defense System at the Yokohama Tribunal for Minor Class War Criminals Based on the Historical Documents of the Legal Department of the U.S. 8th Army
Project/Area Number |
18K00938
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高澤 弘明 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00459835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BC級戦犯 / 戦争裁判 / 横浜法廷 / 弁護制度 / アメリカ第8軍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は第二次世界大戦後に開設された対日BC級戦犯裁判のうち、1,037名の被告人を審理した横浜法廷の弁護制度を究明するものである。同法廷の日米の弁護人については、その参加人数や氏名など基礎的データを示す資料がない。そこで本研究では関連資料の収集や、特に同法廷に日本人弁護人の参加が認められた経緯を示す資料を収集すべく、米国立公文書館(以下「NARA」とする)での米8軍資料の調査を試みるものであった。この計画は2018年4月から2022年3月までの4か年とし、うちNARAでの現地調査は開始年度から3か年の春・夏休暇を利用して行う予定であった。実際、2018年8月から2019年8月までに、計3回の現地調査を行ったが、2019年12月以降は新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため、米国の入国規制措置やNARAの施設閉鎖(再開は2021年11月)、あるいは勤務先の海外渡航自粛要請(2022年7月に要請内容緩和)などにより現地調査は中断した。その間、本研究の実施期間を2023年度まで1か年延長し、またコロナ禍中に上記3回及びこれまでの現地調査で収集した資料の分析を試みたが、当初計画の目的を果たすに至らなかった。この事態の責任を重く受けとめている。なお本研究から2つの副次的成果を上げることができた。1つは東京裁判で処刑された被告人7名の遺骨の行方を示す米第8軍文書の確認である。これまで被告人らの遺骨は関係者の証言により「太平洋に散骨」されたことは知られていたが、この公文書によりそれを裏付けることができた。加えて散骨地点も房総半島東方沖約48kmであることも明らかになり、2022年6月にこの公文書の報告書を作成した。もう1つは横浜法廷に関係した被告人及び弁護人の直筆文書や法廷写真の確認作業で、研究期間中にNARAのこれらの資料の存在を、連絡先の判明した被告人の近親者に情報提供を行った。
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