2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Information Activities and Decision Making Processes by Intellectuals in Crisis Situations at the Opening of Japan.
Project/Area Number |
18K00952
|
Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
嶋村 元宏 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40261193)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大槻磐渓 / 松浦武四郎 / 関藤藤陰 / 儒学者 / 昌平坂学問所 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
〝危機的状況下におかれた人間は、それまで蓄積した自らの経験と知識に照らし合わせ、その危機をどのように知覚し、いかなる対応をとることで、新たな時代を迎え入れようとしたのか〟という問いに対し、認知科学の手法を援用し、意思決定過程を明らかにするため、計画に従い、史料の確認・収集をデジタルカメラ撮影などにより行った。 ここまでに確認・収集した史料は、昌平坂学問所出身で嘉永7年にアメリカ使節の応接に関わった河田興にかかる『惠迪齋全集』(東京都立中央図書館河田文庫所蔵)、同じく昌平坂学問所出身で藩命によりアメリカ使節の動向探索を大槻磐渓にかかる『大槻家文書』(一関市博物館)に加え、福山藩の儒学者にして阿部正弘の腹心であった石川和助とその石川和助が師事した頼山陽の息子・頼三樹三郎と深い関わりがあった松浦武四郎に関する史料である。当初計画では、松浦武四郎に関わる史料は2019年以降確認・収集することとしていたが、2018年が北海道と命名されて150年目にあたることから、名付け親である松浦武四郎に関する大規模な展覧会が北海道博物館、三重県総合博物館などで開催され、松浦武四郎関係史料が一堂に会する機会となったため、史料の確認・収集を行うとともに展覧会担当者からさらなる情報を得た。また、それと連動し、松浦武四郎記念館所蔵史料の確認・収集を行い、あわせて同館学芸員から専門的立場にたった助言を得た。このほか、札幌市中央図書館、函館市中央図書館が所蔵する松浦武四郎関係史料についても調査を行った。 確認・収集した史料については解読を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
収集予定史料を所蔵している機関の内、広島と北海道に所在する機関が、西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの災害の影響により受け入れ対応がとれない状況であったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、特に頼山陽門下の儒学者の情報活動を明らかにすべく史料の確認・収集を進める。 対象史料は、広島県立歴史博物館所蔵「黄葉夕日文庫」、福山市歴史資料室所蔵「東京阿部家文書」、頼山陽記念館所蔵「杉の木資料」に重点を置き、関連資料も含めデジタルカメラ撮影等で収集する。 また、前年度に収集した史料に加え今年度新たに収集した史料も整理を進め解読を行う。
|
Causes of Carryover |
当初計画していた史料機関が豪雨や地震の影響で受け入れ体制が整わなかったことから、史料収集が下半期に集中した。そのため、大学院生を雇用し解読を進めることができなかったため、人件費の執行が予定通り行えなかった。 今年度は、前年度に進められなかった分も含め解読を行うようにする。
|