2020 Fiscal Year Research-status Report
幕府役所史料の整理・活用による近世法制史・身分論の新展開
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18K00956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧原 成征 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20375520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 一郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40208252)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 江戸幕府 / 法制史 / 身分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において基盤的・日常的作業と位置づけた、東京大学法学部法制史資料室所蔵史料の調査については、2020年度上半期に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発出された影響で中断を余儀なくされたものの、前年度までに、当初予定した幕府役所関係分の目録詳細化についてはほぼ目途をつけていたこともあり、年度下半期に作業を再開し、目録を補訂し充実化する作業を進めた。 第二に、所蔵史料のうち補修が必要な史料の一部について調査のうえ補修を行った。さらに「東京大学学術資産等アーカイブズポータル」のなかの「東京大学法学部法制史資料室所蔵コレクション」の選定や解題作成に協力し調査の成果を活用した。 第三に、本コレクションにも同類の写本を複数含む近世前期の裁判判例集である「公法纂例 乾」(東京大学総合図書館所蔵)を東京大学大学院の宮脇啓氏とともに翻刻し、その中間部分を公表することができた。 第四に、学外における関連史料の調査についても大きく制約されたため、東京大学史料編纂所所蔵の宗家史料「江戸藩邸毎日記」の寛永五年(1628)分から宝永元年(1704)分まで約110冊に目を通した。対馬藩江戸藩邸とその管理をめぐる町人・百姓との関係、江戸詰家臣団と歩行(徒)・足軽・又者(陪臣)の採用・欠落、幕臣・他家・町人とのトラブルなどを検討し、江戸の武士身分を幕府・幕府役所の支配や他の身分との関わりのなかでとらえるべく、視野を広げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎的な作業の対象とした法制史資料室所蔵史料の幕府役所関係分については、目録詳細化に目途をつけることができた。この点では目標どおりの結果を収めているが、新型コロナウイルス感染症の影響で、他の関連史料群の調査はほとんど進められておらず、全体としては、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
延期となったフランスでの国際研究集会は現時点で目途が立たないが、国内での史料調査先・調査方法についても柔軟に計画を変更・再検討しつつ研究を進める。東京大学法制史資料室所蔵史料については、幕府役所史料の目録詳細化にめどがついたため、町方・村方史料の目録詳細化を少しずつ進め、それも含みこんで近世法制史・身分論の新展開の方法を模索したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大によって調査旅行が制約されたため期間延長を申請した。今年度も調査旅行が難しい場合は、文献収集と史料補修を行うほか、資料館等の業者による史料複写サービス等を利用する。
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Research Products
(1 results)