2021 Fiscal Year Research-status Report
請来典籍の集積・活用からみた古代王権の「知」の統合策に関する総合的研究
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18K00957
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
中林 隆之 専修大学, 文学部, 教授 (30382021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 禎昭 専修大学, 文学部, 教授 (60751659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仏教と東アジア世界 / 仏典 / 経典目録 / 古代寺院 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年に引き続きコロナ禍の影響で、巡検調査活動がほどんどできず、且つ自身の心身上の不調が断続的に続き、当初の研究課題である義天録所載の典籍データと日本請来典籍との比較検討・データベース化の作業をはじめとする研究活動をほとんど進めることができなかった。ただし義天録典籍との比較検討の前提作業としての、9世紀の入唐八家の請来した典籍のデータベース化は概ね出来上がった。 また当初の研究計画で予定していた地域への請来典籍の流布とその波及および中央への文化の環流などにともなう重層的・多元的な文化形成に関わるテーマに関わって、佐渡国国分寺と新造薬師寺の造立の問題と新訳薬師経との関係をめぐる研究を行い、その成果の一端を島根県埋蔵文化財センターで開催された「古代隠岐の形成と特質」において、口頭報告した。 この他、出版社より依頼のあった概説書2冊の執筆を行い、現在刊行へ向けて準備中だが、共同執筆者の執筆の遅れなどの事情で刊行予定が遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のように、コロナ禍が続く中での自身の心身の断続的不調などにより、当初設定した研究課題である、平安期までの日本が所蔵・蓄積してきた仏典を中心とした典籍類と義天録所載典籍との比較検討を進めることができなかった。ただし9世紀末ごろまでの日本請来典籍に関するデータベース化の作業は概ね完了した。請来典籍の地域伝播に伴う文化の波及をめぐっては佐渡国国分寺の新造薬師像と新訳薬師経典との関係について検討して、口頭報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本来の研究課題である日本所蔵典籍と義天録所載典籍の比較検討により義天録作成にいたる日本所載典籍のもつ比重を示し、日麗間の仏典を巡る交通関係の実態を究明する。また列島内諸地域に請来典籍が流布することにより新たな地域文化が形成されることやそれらの地域的文化の環流による中央の文化の変容に果たした役割に関するの検討も行い、平安期までの請来典籍の果たした政治上・文化上の意義についてマクロには東アジア世界、ミクロには日本列島内諸地域の差異に着目しながら複合的にみて、研究を総括する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の下での研究代表者の心身上の不調が断続的に続いたため、研究活動を十分に進めることが出来なかった。またコロナ禍により当初予定していた国内外の巡検調査にもいけなかったことなどにより予算を執行できず、次年度に繰り越さざるを得なかった。
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Research Products
(5 results)