2022 Fiscal Year Research-status Report
請来典籍の集積・活用からみた古代王権の「知」の統合策に関する総合的研究
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18K00957
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
中林 隆之 専修大学, 文学部, 教授 (30382021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 禎昭 専修大学, 文学部, 教授 (60751659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 仏教と東アジア世界 / 仏典 / 古代寺院 / 経典目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍が続く中、今年度も体調不良、とりわけ、2022年末の脳梗塞の発症とそれにともなう入院により、研究を十分に進展させることができなかった。 ただし、入院以前には、奈良国立博物館で開催された「大安寺展」の実地見学と、大大安寺遺構の実地調査と元興寺の見学と収蔵品の見学調査も実施した。それらにより南都の筆頭官大寺であった大安寺の実相に関する知見を深め、あわせて飛鳥寺に由来する元興寺の請来典籍や関連する伝来品の様相の一端を把握することができた。 また京都国立博物館で開催された特別展「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺」の見学調査も実施した。そこで展示された観心寺および金剛寺の収蔵品の調査では、9世紀以降の密教典籍を中心とした請来典籍の伝来・流布の様相や、それらの請来を軸として展開した山岳信仰を含む密教系の信仰、それらの中世への展開の様相などを具体的地域(河内長野)に即して解明していくための手がかりを得ることができた。 なおこの間の研究成果としては、概説書に短い論文を2本と書評1本を書き上げた。 このうち2本の論文、「道昭-律令雨滴仏教の先駆者ー」と「鑑真ー不屈の伝戒僧ー」(『人物で学ぶ日本古代史』1・2、吉川弘文館、2022年)は、8世紀初頭に唐より帰国した道昭の請来典籍の希少性とそれらが奈良時代におよぼした意義や、鑑真の事績および天台系典籍の請来による律宗および天台宗の成立に果たした意義を解明したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍が続く中、今年度も体調不良、とりわけ、2022年末の脳梗塞の発症とそれにともなう入院により、研究を十分に進展させることができなかった。現在も通院治療が継続しているため、予定していた海外調査は断念し、これまでの研究成果をまとめることに注力したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の期間前後に行った請来典籍(仏典)の請来と活用に関わる自身の研究成果を総括することを目標としたい。
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Causes of Carryover |
2022年度は、とくに体調不良とりわけ脳梗塞による入院などにより、研究をすすめることができなかった。 体調面から海外への巡検調査は困難であるため,国内の古代仏典を集積した寺院・寺院跡の調査巡検を行う予定である。 またこれまでの研究成果を総括し、論文などにまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)