2018 Fiscal Year Research-status Report
The Development of Cotton Industry in Early-Modern Japan: The Domain Authority and Local Communities in Himeji
Project/Area Number |
18K00974
|
Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
山崎 善弘 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 講師 (60582509)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 慶一郎 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (60267862)
金子 哲 兵庫大学, 共通教育機構, 教授 (80330497)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 姫路藩 / 藩政改革 / 木綿専売制 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
姫路藩領における綿業の展開を、領主権力・地域社会との関係から総体的に分析し、その歴史的意義を解明しようとするのが本研究の目的である。 当該年度においては、姫路藩領における綿作・綿織物業の発展を、姫路藩の藩政改革とその後の木綿専売制との関係から分析し、地域経済の発展に果たした姫路藩の役割について検討することを課題とした。 具体的には、第一に、基礎的な作業として、姫路藩領最大級の木綿問屋であるとともに、大庄屋を務めた大西家(兵庫県加古川市)の所蔵文書のうち、未整理史料の目録作成を中心に行った。当初想定していたよりも一紙史料が多く、総点数5,000点は下らないことが判明した(自治体史によって整理済の史料は726点)。なお、点数が多いのみならず、姫路藩の藩政改革とその後の木綿専売制に関する史料はもちろん、巨大木綿問屋である大西家を核として一つの地域経済圏が形成されていたことをうかがわせる史料が見いだせたことは、今後の研究を進めていく上で有益である。 第二に、藩政改革下での綿作の奨励と木綿専売制に関わる史料群として、当初閲覧を計画していなかった個人蔵文書の閲覧を許可される幸運に恵まれ、同文書を中心に分析することで、綿業をめぐる姫路藩の動向が明らかになりつつある。 従来、姫路藩の綿業の展開は木綿問屋の経営や流通の面からのみ研究されてきたが、姫路藩領内での綿作・綿織物業の発展の嚆矢となった藩政改革下での綿作の奨励策にはほとんど注目されていない。また、地域社会にあって領主権力の末端に位置づけられ、木綿専売制を実現に導いた大庄屋・取締役の役割や存在意義に踏み込んだ研究は、これまで全く行われていない。こうした点を詳細に明らかにするための基礎的作業が進み、そのための大きな糸口が得られたことは、研究初年度における大きな成果と言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度における課題の第一点については、当初想定していたよりも大西家文書の点数がはるかに多いという事態に直面したが、このことは嬉しい誤算であった。単に点数が多いというのではなく、研究を遂行するための有益な史料が多く見つかったからである。ただし、研究分担者・協力者、また大学院生らの協力により、目録作成は順調に進んでいるものの(未整理史料の約35%)、全史料の目録化は困難と判断する。 課題の第二点については、第一級の関連文書の閲覧許可を得たことにより、当初想定していたよりも順調に研究が進んでいる。 総じて、当該年度においては、おおむね順調に研究が進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」に照らしても、順調に研究が進んでいる。 したがって、今後の研究の推進方策として、研究分担者・協力者、さらに大学院生らの協力を得て、交付申請書に従って研究を推進する予定である。 なお、大西家文書については、全史料の目録化は断念し、本研究にとって必要な史料を優先的に目録化することとする。
|
Causes of Carryover |
アルバイトとして雇用する予定であった大学院生らが思いのほか集まらず、研究分担者の一人が、そのための人件費・謝金を支払うことができなかった。 現在は、多くの大学院生らが名乗りを上げてくれており、翌年分として請求した助成金と合わせ、彼ら・彼女らの人件費・謝金として必要となる。
|
Research Products
(4 results)