2018 Fiscal Year Research-status Report
戦時期タイにおける日本の宣伝機関の進出と活動:タイ・日・英語史料からのアプローチ
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18K00975
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
加納 寛 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30308712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タイ / 大東亜共栄圏 / プロパガンダ / 宣伝機関 / 東南アジア / 多言語 / 南進 / 文化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度については、タイにおける資料調査を実施した。図書館等において資料の収集に努めるとともに、第2次世界大戦中に日本軍や日本関係諸機関がプロパガンダ活動を展開していた地域についても、改めて実地を踏査することができた。ただし、近年になって本格的研究が始まりだしたタイ国軍最高司令部文書の閲覧・調査については、残念ながら当該史料を所蔵しているタイ国立公文書館の改修工事により、出張中の閲覧がかなわず、2019年度以降の再度の調査が必要である。 一方で、日本国内における対外プロパガンダに関わる資料収集は順調に推移しており、新たに史資料を入手し、その内容の整理・分析を進めることができた。とくにタイを含む「南方」への映画プロパガンダの具体的な展開に関わる同時代史料については、体系的に収集することができた。また、史資料収集については、近年充実してきているインターネット上での史資料公開も、国内外にわたって積極的に利活用した。最もよく利用したのは、タイ政府官報であるが、京都大学東南アジア研究所が公開している同時代のタイ語新聞など、研究室に居ながらにして読めることは、研究環境の大きな改善であった。さらに、以前にアメリカ議会図書館やイギリス国立公文書館・大英図書館等で閲覧した史資料の分析をさらに進めることもできた。 そのような研究活動の成果の一旦は、市民講座において「タイと日本の素敵な関係:日タイ関係史からタイとの付き合い方を考える」として講演することによって、市民に還元することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年になって本格的研究が始まりだした国軍最高司令部文書の閲覧・調査については、残念ながらタイ国立公文書館の改修により、出張中の閲覧がかなわかった。この点については、研究が順調に進んだとは言えない。 しかし、タイや日本における図書館等における対外プロパガンダに関わる史資料の収集は、十分に進めることができた。現地踏査についても順調に実施できた。また、資料収集については、近年充実してきているインターネット上での史資料公開も、国内外にわたって積極的に利活用できた。さらに、以前にアメリカ議会図書館やイギリス国立公文書館・大英図書館等で閲覧した史資料の分析をさらに進めることもできた。 総合的に判断すれば、一部の重要な研究計画が順調には推移しなかったものの、その他の部分では計画以上に研究が進展したため、全体の進捗としてはおおむね順調と言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
近年になって本格的研究が始まりだした国軍最高司令部文書の閲覧・調査については、残念ながらタイ国立公文書館の改修により、出張中の閲覧がかなわなかった。そのため、2019年度には、タイ国立公文書館を再訪し、国軍最高司令部文書の閲覧・調査に再挑戦したい。 あわせて、当初から2019年度に計画していたアメリカ国立公文書館所蔵史料の閲覧・分析を実施する。2020年度には、イギリス国立公文書館等所蔵史料の閲覧・分析を行い、全体の成果をまとめていきたい。
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Research Products
(1 results)