2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K00979
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
吉川 敏子 奈良大学, 文学部, 教授 (40297172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
小山田 宏一 奈良大学, 文学部, 教授 (00780181)
鷺森 浩幸 帝塚山大学, 文学部, 教授 (40441414)
田中 俊明 公益財団法人古代学協会, その他部局等, 客員研究員 (50183067)
坂井 秀弥 奈良大学, 文学部, 教授 (50559317) [Withdrawn]
藤本 悠 奈良大学, 文学部, 准教授 (50609534)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本古代牧 / 近都牧 / 御牧 / 諸国牧 / 御馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究助成の最終年度となる2020年度は、研究成果を公開するための報告書作成に取り組んだ。研究報告書は、「研究活動の記録」「近畿古代牧概観」(研究代表者・吉川敏子)、「大和国西部の牧と馬」(鷺森浩幸)、「河内国楠葉牧の再検討」(吉川真司)、「鳥養牧について」(佐藤健太郎)、「布施内親王墾田地から東寺垂水庄・垂水牧へ~条里型地割形成前後の摂津国垂水牧~」(山中章)の編成である。報告書の中では、文献史料から近畿古代牧を検出してリストアップした一覧も収録する。コロナウィルス蔓延の悪影響を受け、現地踏査や研究会はすべて自粛せざるを得ず、個別研究にも遅延が生じ、刊行は2021年度に延期することとなったが、構成に変更はなく、執筆者による執筆活動は進んでいる。 報告書に収録予定の研究代表者の論文では、古代の牧を、馬を生産・放牧する生産牧と、官司や貴族が当面利用しない馬を放牧する備蓄牧とに区分し、王権膝下の近畿における後者の重要性を実例を挙げながら指摘する。また、古墳時代から平安時代前半にかけて、近畿古代牧の在り方が、時代ごとの公的な馬の需要の在り方に応じて変容した経緯を論じる。この他、研究代表者は「近畿の馬牧」を佐々木虔一等編『馬と古代社会』(八木書店、近刊)に入稿しており、これらは研究助成を受けた3年間の研究成果の到達点を示すものである。本研究課題の他の構成員も報告書での執筆以外に、単著論文を公表し(後掲)、研究の成果の公表に努めている。 古代の馬を研究する考古学のグループから、研究会にて本研究課題の研究メンバーによる成果報告の依頼を受けていたが、これはコロナウィルス蔓延により、延期となっている。執筆や研究発表の依頼を受けていることなどから、この3年間で本研究課題の活動が学会でも認知されるようになっていることを感じ取っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は3年間の補助事業の集大成の年にあたり、前年度までの研究を踏まえ、報告書を作成して成果を公表する予定であった。また、報告書作成と並行して、近畿古代牧の故地での現地踏査を行い、研究成果の補強をする予定であった。ところが、コロナウィルス蔓延により、巡見が行えなくなり、報告書の編集にも遅延が生じて、研究の期間延長を申請する仕儀となった。また、「馬の考古学」の研究会から、2020年秋の研究会にて本研究課題のメンバーたちによる成果発表を行うよう依頼を受けていたが、これもコロナウィルス蔓延により、延期となった。各方面にて研究成果の発表が遅延しているが、2021年度に順次発表していける準備は整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に研究報告書を完成させねばならない。これを各方面に贈呈し、ご教示を賜ることで、新たな課題を見いだせることと期待する。コロナウィルスの収束を待って、研究会や近畿圏内の巡見を再開し、その成果を以て、編集中の報告書の成果の補強を行う。公共交通機関を利用する移動の可否はコロナウィルスの感染状況に左右されるが、可能となれば、数名で伊勢国に点在する伊勢神宮領の牧や、馬寮の備蓄牧である兵庫県姫路市の家島牧などの巡見を行いたい。3年間の研究の中で、近畿古代牧の特徴を把握してきているので、それを踏まえ、今後は中世以降の牧にも研究の幅を広げていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス蔓延の影響により、計画していた巡見、および研究報告書刊行が21年度に延期せざるを得なくなったため。
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Research Products
(2 results)