2018 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦後ベトナムからの「引揚げ」と「残留」
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18K00983
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
湯山 英子 北海道大学, 経済学研究院, 研究員 (70644748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 引揚げ / 残留 / 残留日本人ベトナム家族 / 残留日本兵 / 残留台湾人 / 仏領インドシナ / 帝国崩壊 / 戦後東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、戦後ベトナムからの「引揚げ」「残留」に関して、次のような4つの目的にそって研究を進めている。①可能な限り「引揚げ」を数量的に確認することで全体像の把握をする。②個別体験の集約・集積によって、全体における位置づけをする。それによって③戦前、戦時期の再検討、④「人の移動」に関する通史を構築することが可能になる。 2018年度は、資料収集と併行して、海外における現地調査と、国内での「引揚げ」「残留」者の遺族への聞取り調査を行った。主に①と②に関する調査を実施したことになる。①の数量的確認にあたり、ハノイ在留者名簿(1944年1月)と引揚げ者名簿(1946年)の入手ができ、一部入力を行った。これによってハノイに限定するものの、各団体、企業、商店の全体像が見えてきたことで、それらの活動を一部整理することが可能となった。②の個別体験となる回想録、関係者の聞取りとしては、日本国内とベトナムでの遺族へのインタビューを実施し、個人所有の資料を入手することができた。また、戦後への連続性を検討するにあたり、「引揚者在外事実調査票」(1956年厚生省実施)にアプローチすることができたことは、当初予想していなかった成果である。事例は僅かではあるが、ベトナムからの「引揚げ」者の戦後を一部追うことが可能となった。①と②については、中間報告をベトナム関連の勉強会で発表することができた(2019年1月)。次年度では、調査の集約分析と研究の理論的枠組み・方法論の見直しを踏まえて、これらを研究ノートそして中間発表をする準備を進めている。これまで入手できた資料の所在と概要を公表するのが第一の目的である。①と②については、引き続き資料調査および関係者への聞取り調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、ハノイ日本人会(1944年1月1日現在)の名簿原本を入手することができたことと、ハノイからの引揚げ者名簿(1946年)の入力作業がおおむね終了した。聞取り調査では、ベトナムにおいて残留日本人ベトナム家族へのインタビューを行い、日本国内では「残留」「引揚げ」者の遺族から資料提供があった。さらに「引揚者在外事実調査票」(1956年厚生省実施)に、一部地域に限定されるもののアプローチが可能となった。しかし、すべての調査票に目を通せたわけではないため、再度閲覧する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、①の資料調査、②の聞取り調査を予定している。資料収集については、台湾での資料調査を予定している。日本国内での聞取り調査については、すでに対象者が何人かいるため、調査依頼をし、実際の調査に取り掛かりたいと考えている。また、中間報告として研究ノートを研究誌に発表する予定である。さらに、本研究と関連のある、博士論文のテーマ「仏領インドシナにおける日本商の研究」に関する著書の執筆に着手したいと考えている。
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Causes of Carryover |
特に理由はない。残額の7,811円については、次年度の図書費用に充足する予定。
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Research Products
(3 results)