2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Fatimid Caliphate based on documentary sources
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18K00984
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
亀谷 学 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (00586159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カリフ / イスラーム史 / ファーティマ朝 / 貨幣 / パピルス文書 / イスラーム統治論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本研究課題にとって最終年度となる予定であり、国内での追加調査、海外での追加調査を通じて、これまでの成果をまとめ、それらを国内外の学会等にて報告する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスによる移動の制限のため、学会の開催の可否についても予測がつかなかったため、予定通りの活動を行うことができなかった。 そのような状況の中でも前年度までに収集したデータを整理し、それを体系的にまとめるための作業を継続した。それによって、ファーテイマ朝カリフ権の変容と貨幣銘文の変遷についての論考、また貨幣銘文と碑文におけるカリフへの言及の比較研究に関する論考を準備することができたが、論文として投稿・掲載するためには、その細部についての確認が必要な点も多く、国内・海外での調査を行わずに完成させることは困難であったため、2021年度に継続して本研究課題の研究を行うこととした。 今年度の成果としては、史料翻訳となる亀谷学・大塚修・松本隆志「翻訳 イブン・ワーディフ・ヤアクービー著『歴史』訳注(2)」『人文社会科学論叢(弘前大学)』10, 113-154を刊行したことが挙げられる。この史料はシーア派の歴史観を反映したものであると考えられ、これを精読して研究を進めることは、彼らが有していたカリフ観を明らかにするための基礎作業と言える。なお、本年度はヤアクービー『歴史』の未利用写本の画像データを用いて、そのテクストの翻刻と研究も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延の影響により、国内外での資料調査や学会報告等の可否が不透明であり、当初の予定通りに研究を進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には、新型コロナウイルスによる移動制限などのために、国内・国外ともに調査が困難であったが、ワクチン接種が進むことによって2021年度中には調査を行うことができるようになると期待される(あるいは、少なくとも海外の図書館等の対応が正常化することで、その代替となりうる資料を入手することができると考えられる)。すでに2020年度までに行った作業に基づく成果を、それらの資料調査を通じて論文として完成させ、国内外の学術雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルスの影響により、国内外での調査および学会報告等の可否が不透明な状況が続いたため、当初予定していた実施の計画通りに行うことができなかった。 2021年度には、2020年度に実施できなかった国内での資料調査および海外での資料調査、また可能であれば学会等での報告のための旅費として支出することを予定しているが、万が一それが困難であった場合は、次善の策として、論文等を完成させるための資料を、おそらくその利用が正常化してゆくであろう海外の図書館等から取得するために使用することを計画している。
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