2020 Fiscal Year Research-status Report
Military management during the Chinese Civil War-The case of the Communist Party and the Nationalist Party
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18K00985
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿南 友亮 東北大学, 法学研究科, 教授 (50365003)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国内戦 / 冷戦 / 中国国民党 / 中国共産党 / 中国人民解放軍 / 中国革命 / 中国近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの3年目にあたる2020年度には、これまでの研究成果をまとめて6月7日に開催されたアジア政経学会春季大会において学会発表をおこなった。この際、単独で発表するのではなく、中国内戦における中国共産党と中国国民党の軍隊運営に関して報告と討論をおこなうことを目的とした部会「冷戦の幕開けと中国内戦ー1940年代における米ソの対中軍事支援の指針と実態」を企画し、そのなかで「四平街のソ連兵ー米・台の機密文書からみる中国内戦へのソ連の軍事介入」という報告をおこなった。従来は共産党と国民党の自助努力に基づく競争という視点から描かれる傾向が強かった中国内戦について、ソ連および米国の作用の大きさを指摘し、国共両党の主体性を相対化したというのが本部会の成果といえる。つまり、中国内戦の帰趨は第二次大戦後の国際秩序構築をめぐる米ソの駆け引きによって決定的と呼べるほどに左右されたという視点を提示したことが本部会およびそこにおける報告の意義であったといえる。無論、中国内戦へのソ連や米国の作用を指摘した研究はこれまでにも多数発表されているが、本部会の特徴は、ソ連の中国共産党に対する軍事支援および米国の中国国民党に対する軍事支援の中身をそれぞれ吟味し、双方の支援パッケージの中身を比較したうえで結論を導き出した点にある。内戦期における国共両党の軍隊運営は、米ソに大幅に依存しており、米ソの支援の差が国共間の戦争に看過し得ない影響を及ぼした。 2020年度は、新型コロナ・ウイルスの世界的蔓延により、台湾や米国での史料調査が不可能となった。そこでこれまでの史料調査をつうじて収集した史料や文献を用いて、1920年代から40年代にかけての国共両党の軍隊運営に諸外国(日・ソ・独・米)が及ぼした影響について調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に論文を発表したことに加えて、2020年度に学会の大会で部会を企画し、そこで学会報告をすることができたことに鑑みれば、本研究プロジェクトはおおむね順調に進展していると評価し得る。新型コロナ・ウイルスの影響で、もともと予定されていた海外での史料調査は中止を余儀なくされたが、これまで集めた史料が豊富にあり、まだ目を通していなかったものも多数あったので、それらにじっくりを目を通すことが出来たことも研究遂行のうえでプラスになった。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾や米国での史料調査に重点を置いている本研究プロジェクトは、新型コロナ・ウイルスの世界的蔓延の影響を大きく受けている。感染拡大状況が落ち着き、海外渡航の条件が緩和されれば、予定通り再度台湾や米国に赴き、史料調査をおこなう予定である。それが難しい場合は、台湾の国史館がウェブ上で公開している膨大な史料の調査に重点を置いて研究を続行することを検討している。また、海外在住の研究協力者の力を借りて可能な限り史料収集を続けるための準備も進めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウイルス問題により2020年度に予定していた台湾での史料調査旅行の中止を余儀なくされ、旅費に充てる予定だった予算を執行することができなかったため。
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Research Products
(1 results)