2022 Fiscal Year Annual Research Report
Military management during the Chinese Civil War-The case of the Communist Party and the Nationalist Party
Project/Area Number |
18K00985
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿南 友亮 東北大学, 法学研究科, 教授 (50365003)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国近代政治史 / 中国内戦 / 中国共産党 / 中国国民党 / ソ連 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の集大成といえる論文「米・台の機密文書からみる中国内戦へのソ連の軍事介入」を執筆し、学術誌の『東洋史研究』に投稿した。当該論文は査読を経て、2023年6月に刊行される『東洋史研究』第82巻1号に掲載される予定である。 従来の研究では、1945年8月に満洲国(中国の東北地域)に攻め込んだソ連軍が関東軍から鹵獲した武器・弾薬を中国共産党の軍隊(中共軍)に渡したことや中共軍が東北地域の大都市を占領するために便宜をはかったことなどが中共軍の戦力強化につながったことが指摘されてきた。一方、本研究では、中国国民党の機密文書(「特種档案」や「外交部档案)などから ソ連の中共軍に対する支援がそれよりもはるかに多岐にわたっていた実態を明らかにした。これらの機密文書からは、ソ連が東北地域の中共軍に関東軍の武器・弾薬を提供しただけでなく、中共軍の部隊整備にもかかわり、ソ連領内および朝鮮半島の占領地域を中共軍の避難所・訓練基地・兵站基地として提供し、鉄道および航空機によって中共軍の部隊や将校を運び、中共軍の部隊や将校に対する訓練をおこない、それらの部隊にソ連軍将兵を派遣して国府軍との戦闘に参加させ、ソ連軍の幾つかの小部隊も参戦していた様子が浮かび上がってくる。 本研究では、中国内戦の前線に「軍事調停団」を派遣していた米国の機密文書に関する調査も進め、複数の文書から中国内戦へのソ連の軍事介入に関する国民党側の文書の内容に関する裏付けを得ることができた。米陸軍もソ連の中共軍に対する大規模支援の存在を認め、それが中共軍の戦争遂行形態を抜本的に変えるほどインパクトのあるものであったという認識を機密文書において示していたのである。 上記の論文では、これらの実証研究の成果をふまえ、中国内戦における中共軍の勝利がソ連からの多面的かつ大々的な支援に負うところが大きかったという結論を示した。
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Research Products
(1 results)