2020 Fiscal Year Research-status Report
近現代インドのユダヤ教徒のライフ・ヒストリーと「国民国家」
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18K00988
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井坂 理穂 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70272490)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インド / ユダヤ教 / 近現代 / 国民国家 / 移動 / 帰属 / ライフ・ヒストリー / マイノリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナ感染状況を鑑み、研究代表者・研究協力者間で主にオンライン上で打ち合わせを行い、各自がこれまでに収集した史資料のとりまとめや先行研究の整理などを行った。研究代表者が参加を予定していた国際学会は中止となったが、10月の日本南アジア学会第33回全国大会はオンラインで開催されたため、研究代表者は植民地期インドのベネ・イスラエルとシオニズムに関する研究報告を行い、参加者たちと意見交換を行った。この報告では、近現代インドのユダヤ教徒をめぐる状況についての概観を示すとともに、そのうちのベネ・イスラエルと呼ばれるコミュニティに焦点を当て、20世紀前半のシオニズム、ナショナリズムの台頭のなかで、彼らが自身の帰属意識や「故郷」をめぐり、いかなる議論を展開していたのかを同時代の様々な著作、機関誌をもとに論じた。イギリスの植民地支配をめぐる状況、インド国内のナショナリズムの展開、グローバルなシオニストたちのネットワーク・活動などの背景と絡めながら、彼らの議論を分析する本研究の試みについては、現在、論文や研究ノートとしてまとめる作業を進めている。このほか、研究代表者が企画者のひとりとして加わった2021年1月開催のオンラインによる国際ワークショップ'Knowledge on the Move: Connectivities, Frontiers, Translations in Asia'においては、アジア諸地域間の知の交流に関する議論が展開され、本プロジェクトをより広範な議論・概念と関連づけていくための示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度には海外での文献収集・聞き取り調査や、国外からの研究者の招聘を予定していたが、これらはコロナ感染をめぐる状況のために中止せざるをえなかった。参加を予定していた国際会議も中止となった。こうした状況から、2020年度はこれまでに収集してきた資料をまとめる作業を行った。海外調査や研究者招聘については、今後、コロナをめぐる状況を見極めながら実施時期を判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、研究代表者・研究協力者間の打ち合わせをオンライン形式で定期的に行い、コロナ感染状況を見極めながら、可能であれば年度の後半に、成果のとりまとめを視野に入れた史資料収集をイギリス、あるいはインドで行う。状況によっては、海外からの研究者招聘も検討する。感染状況が収束するまでの間は、研究代表者、研究協力者のそれぞれが、これまでに収集した史資料の分析や関連文献の翻訳作業、研究論文・研究ノートの執筆を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の拡大により、2020年度に予定していた海外調査や国外からの研究者の招聘などを行うことができなかった。2021年度にコロナをめぐる状況が収束した場合には、繰越分を用いて、年度の後半に海外での資料調査、あるいは国外からの研究者の招聘を検討する。このほか、研究成果をまとめるための資料整理に必要な物品費、文献・資料の購入費のために用いる。
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Research Products
(1 results)