2021 Fiscal Year Annual Research Report
Foundational Investigation on the Comparative Studies of the Document Based Administration between Tonkin and Cochinchina during Early Modern Vietnam
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18K00991
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
蓮田 隆志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (20512247)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベトナム / 近世 / 文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も新型コロナウイルス肺炎の蔓延のため、現地調査を行うことができなかった。そのため、これ以前に収集した史料の分析を重点的に行った。まず、2000年代初頭以来、筆者が参加した現地調査によって収集した村落文書で、「勅封」と総称される史料のうち、神格に関連せず、人事に関連するものを整理し、明らかに後世の偽造ではないと見なせるもの約80道を抽出した。次いで、それらに句読を付して全て翻刻した。これに最低限の注釈と解説を加えたものを、所属先のアジア太平洋研究センターのワーキングペーパー「後期黎朝勅式人事文書集」として公刊した(Web出版)。 この史料集を元に、文書の構造を分析した。制度史料には多種多様な人事関連文書の書式が規定されているが、村落に遺されている勅封はかなり簡素化されており、書式も構造も単純なものである。その書式は、(1)勅、《充所=旧官職爵位称号・姓名》、(2)爲《理由》、應《措置提案》、(3)可《措置》《官職爵位称号》。(4)故勅。年号月日「勅命之寶」印という形で定式化できる。そのような中でも、鄭氏の権力強化に応じて16世紀から18世紀にかけて書式に変化が生じていることも跡づけられた。 また、ユニークな東南アジア通史として評価の高いアンソニー・リード『世界史のなかの東南アジア』を共訳で公刊した。このほか、学界動向や研究史に関連する研究成果が公刊された。2020年の東南アジア史研究の状況を概観した『史学雑誌』「回顧と展望」、東洋学の古典として山本達郎(編著)『ベトナム中国関係史』と後藤均平『ベトナム救国抗争史』を『中国史史料研究会会報』16号で紹介し、東洋史の主要論点を綜覧する『論点・東洋史学』には近世末期の大陸部東南アジアの国家統合進展に関する論点を整理した解説を寄稿した。
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Research Products
(6 results)