2019 Fiscal Year Research-status Report
チャクリー改革における中国的契機―植民地近代の再考と比較史の可能性
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18K00994
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70234672)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チャクリー改革 / 華僑華人 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジアで独立を維持した数少ない国の一つであったシャムは、19世紀末、植民地化を免れるために、領土の一部を英仏に割譲する一方、領事裁判権撤廃など不平等条約改正を目指して国王を中心に司法、軍事、財政、地方行政、身分制、教育、宗教、王権など広範な近代化政策(チャクリー改革)を進めた。本研究は対西洋植民地勢力を基点とする既存のチャクリー改革研究の中で看過されてきたシャム国内の中国人の動きとそれと連動した清朝の動きを切り口にチャクリー改革を再検討し、こうした側面がシャムの軍事、財政、教育などの改革過程にいかなる影響を及ぼし、方向性やプロセスを規定したのか明らかにすることを目的としている。 初年度に引き続き先行研究の整理と検討を行いつつ、タイにおいて国立公文書館、国立図書館、タマサート大学などにて史料調査・収集を進めるとともに、日本国内の諸図書館などにおいても関連史料調査を実施した。 収集した史料の一部もふまえて、19世紀半ばから終わりにかけて、清朝への朝貢、燕巣などの徴税請負、海賊討伐、対清外交交渉などにかかわった一人の華人の多彩な活動の軌跡を検討した"Vicissitudes of a Second-Generation Chinese in Siam in the Latter half of the Nineteenth Century"と題された英文ペーパーをまとめ、香港で開催された国際会議 An International Conference on Positioning Chinese Diasporas in Southeast Asia (Hong Kong Baptist University, 2019年11月1-2日)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英文ペーパー"Vicissitudes of a Second-Generation Chinese in Siam in the Latter half of the Nineteenth Century"をまとめて発表したものの、年度の終わりにかけて予定していた海外での史料収集を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集してきた史料の整理・検討を進めつつ、昨年度末にかけて実施できなかった史料調査・収集を実施し、チャクリー改革に関する論考を執筆する。
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Causes of Carryover |
年度終わりにかけて史料調査のための海外出張ができなくなったため旅費予算の使用が予定よりも少なくなった。これまでに収集した史料の整理・検討を進めつつ、改めて海外史料調査を実施し、成果をまとめる。
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Research Products
(1 results)