2022 Fiscal Year Research-status Report
チャクリー改革における中国的契機―植民地近代の再考と比較史の可能性
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18K00994
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70234672)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チャクリー改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般にアジアで独立を維持した数少ない国の一つであったシャムは、19世紀中葉から20世紀初頭にかけて植民地化の脅威に対抗して、領土の一部を英仏に「割譲」する一方、領事裁判権撤廃など不平等条約改正を目指し、司法、軍事、財政、地方行政、身分制、教育、宗教、王権など広範な近代化政策(チャクリー改革)を進めたとされている。本研究は、西洋との関係を基点とする既存のチャクリー改革研究の中で看過されてきたシャム国内の中国人の動きや中国との関係に着目してチャクリー改革を再検討し、こうした側面が諸分野における改革過程にいかなる影響を及ぼし、その方向性やプロセスを規定したのか明らかにすることを目的としている。2022年度は、引き続き先行研究の整理と検討を行い、これまでに収集した史料の整理分析を進めながら、タイ国立公文書館等における史料調査を実施することができた。1855年のバウリング条約締結において、モンクットが王の権威を如何に表現し、また利益を確保しようとしていたのか、そこに中国との関係はいかに関わっていたのかなどの問題を検討する論考を発表するとともに、さらにこのテーマに関わる論考の執筆を進めた。西洋諸国と締結した条約を不平等条約とみなし、その後の改革を西洋植民地主義への対応とする一般的理解に対して、例えば低率の関税は条約締結交渉においてシャム側から提起されている可能性などが判明し、近代シャムにおける植民地性をめぐる議論に資する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで収集してきた史料の整理を進めるかたわら、新たな論考を発表することができ、シャムとイギリスとの条約締結の意味やその後の対外関係を考えるうえで有益な新知見を得ることができた。その一方で、コロナ禍のため延期してきたタイでの資料調査を実現できたが、短期間の調査にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデジタル史料などの発掘・活用にも努めながら、コロナ禍のため不十分にとどまってきた海外における史料調査・収集を実施する。収集してきた史料の整理・検討を続け、成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
2022年度は引き続きコロナ禍のため、海外調査を十分に実施することができなかった。2023年度は、デジタル史料等の活用も続けるとともに海外調査を実施し、論考の執筆を進める。
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Research Products
(2 results)