2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01005
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
江川 式部 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (70468825)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 唐代 / 礼制 / 祭祀儀礼 / 藩鎮 / 節度使 / 石刻史料 / 地方社会 / 地域文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究二年目となる今年度は、初年度に引続き、唐代藩鎮及び礼制に関する論著・墓誌等出土資料に関する既出情報の収集・整理と、海外調査での最新情報の入手を行った。 海外調査は、江川が2019年11月に中国北京市で資料調査を行った。2020年3月に予定していた陝西省での文物調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大により断念した。北京調査では、大学・機関等における文物研究に関する最新情報の収集と、国家博物館及び天壇神楽署等での資料調査を行った。博物館では海外に流出したのち中国に返還された文物を実見調査した。天壇神楽署では礼制古楽器や関連碑刻の拓影を確認し、斎宮での礼制文物の調査も行った。地壇皇祇室の調査では、清朝の山川祭祀に関する資料から、唐代の地方藩鎮の山川祭祀に繋がる要素についての啓発を得た。研究協力者の石野智大氏には、2019年9月に彼が北京大学図書館、中国国家図書館、河北省での博物館調査を行った際に得られた、本課題に関連する石刻の情報をとりまとめてもらった。 以上の基礎研究を進めつつ、本年度は以下の成果を発表した。江川は5月の國學院大學国史学会例会において「唐の弔祭と冊礼」と題する研究報告を行い、唐朝廷が地方藩鎮・諸外国に派遣した弔問及び冊立に関する使節の諸相について検討した。また「唐の礼官と礼学」(『アジア遊学』第242号)、「唐前半期における儀注編纂について」『金子修一先生古稀記念論文集』)を論文にまとめ、挙祭時の式次第の作成過程について考察した。このほか皇帝誕節儀礼に関する史料研究として、唐・封演撰『封氏聞見記』巻四・降誕の訳注稿を『札幌大学総合研究』第12号に、藩鎮節度使関連の先駆的研究となる谷川道雄著『谷川道雄中国史論集』下巻の書評を『唐代史研究』第22号に発表した。石野氏も11月に「唐代石刻題記研究の概況と実践」(於学習院大学東洋文化研究所)と題する研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題研究二年目となる今年度の研究計画では、初年度に引き続き、研究文献目録及び石刻資料集作成のための既発表の史資料の収集と、併せて新出・新確認史資料の情報収集とその確認とを、河北・山西・陝西の寺観・祠廟を主な対象として行う予定であった。河北については現地調査も含めて概ね押さえられたものの、2020年3月に予定していた陝西での現地調査が、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できず、また中国刊行の報告書・研究書等の入手についても遅滞を余儀なくされたため、資料整理に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、中国陝西での現地調査を行うことができなかった影響はあるものの、基本的には当初の計画に従い、基礎研究として藩鎮及び礼制研究文献目録の作成と、河北・山西・陝西を対象とした寺観・祠廟に関する史資料の収集・整理とを行っていく予定である。陝西については、当面は既発表の情報の整理とその充実に努める。また今後の疫情如何によっては、海外渡航を伴う調査ができないという事態の継続も想定されうるため、山西・河北についても同様に既発表の情報の収集とその整理とを中心に、研究を進めていくこととしたい。中国の歴史学界においても、ソーシャルメディアを活用した情報交換が行われるようになってきており、情報の精査には留意しながら、本研究課題に必要な情報を効率的に入手していきたいと考えている。 これまでの基礎研究で収集した史資料に関しては、すでに個別事例の検討や紹介も順次行ってはきているが、今後は更に地域的ないし時代的にまとまった形での分析を行い、各研究会での報告を行いながら、諸研究者からの知見も得て、文章化していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に行う予定であった調査のうち、2020年3月に予定していた中国陝西省西安市での調査及び国内諸機関への出張調査が、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国内外の移動制限によって中止を余儀なくされており、これを次年度に使用することとした。また人件費については主に論文翻訳料に充てる予定であったが、その必要がなくなったため、次年度以後の成果報告の際に活用したいと考えている。なお次年度は、江川が所属研究機関の変更を予定している。移籍後は先方の機関の使用ルールに従って、本課題研究を継続・遂行していくつもりである。
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Research Products
(8 results)