2018 Fiscal Year Research-status Report
Women and Family in Post-Black Death Egypt and Syria As Viewed from the Endowment Documents
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18K01008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
五十嵐 大介 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20508907)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女性史 / 家族史 / 寄進 / 文書史料 / マムルーク朝 / エジプト / シリア / イスラーム史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ポスト黒死病(ペスト)時代(14世紀半ば~)のマムルーク朝エジプト・シリア社会における家族のあり方と、その中で女性が果たした役割についてワクフ(イスラーム寄進)関連文書を用いて明らかにするとともに、それを通じてワクフ制度が家族の形成・維持・継承において果たした役割と機能を考察することにある。本年度は、海外の研究者を巻き込む形で女性・家族史研究の推進を図った。その一環として、研究代表者を責任編集として、欧文学術誌Orientに「Women and Family in Mamluk and Early-Ottoman Egypt, Syria, and Hijaz」というタイトルの特集号を企画した。国内外の研究者に声をかけて論文の寄稿を募り、その結果、アメリカ、フランス、日本の研究者による計8本の研究論文が寄稿された。内容は、文書史料から見る女性と家族の研究(4本)、叙述史料における女性の表象の問題をあつかった研究(2本)、特定家族の婚姻戦略を扱った研究(2本)で構成される。本特集はOrient volume 54に掲載され、本年度末に刊行された。 研究代表者は共同で本特集号のイントロダクションを執筆し、近年のマムルーク朝時代の女性研究をレヴューしたことに加え、単著の論文も発表した。本論文で取り上げた文書は、マムルーク軍人タシュタムルの娘タタルハーンが、父の遺言に従って設定したワクフに関連するものである。彼女が女性でありながらワクフの管財人として莫大な資産を自らの手で管理運営し、かつ自らの墓廟のための新たなワクフを設定していく様子を明らかにした。 また、マムルーク軍人キジュマースの寄進文書を用い、彼のワクフ設定の動機と目的を考察し、ワクフ制度が果たした多面的機能を明らかにした英語論文をイギリスの学術誌Bulletin of the School of Oriental and African Studiesに投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、女性と家族に関する特集を企画し、とりまとめ、無事出版にこぎつけた。また、計画通り、マムルーク軍人タシュタムルの娘タタルハーンのワクフ文書(エジプト・ワクフ省文書局所蔵)を史料として用いた論文を発表した。それに加え、キジュマースのワクフに関する英語論文が、この分野で名の知れた海外の学術雑誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の特集号の企画で培った人脈をもとに、海外の研究者との連携と今後の共同研究の可能性を模索する。同時に、オスマン帝国時代ダマスカスのワクフ台帳の整理とデータベース化を進め、その分析を行う。
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Causes of Carryover |
必要経費を支出した端数が未使用額として残った。次年度請求額と合わせ、物品購入費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)