2021 Fiscal Year Research-status Report
旧在地支配層のミクロヒストリーから見る現代中央アジア国家形成:クルグズを中心に
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18K01009
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秋山 徹 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (90704809)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中央アジア / 中央ユーラシア / キルギス / クルグズ / ソ連 / 遊牧民 |
Outline of Annual Research Achievements |
オランダのブリル社より刊行した英文単著The Qїrghїz Baatïr and the Russian Empire: A Portrait of a Local Intermediary in Russian Central Asia(https://brill.com/view/title/58320)(ハード版は4月、電子版は7月に刊行)を関連する海外の研究者に送付した。その結果、私信のかたちで様々なフィードバックをいただいたばかりでなく、多様な波及効果を得ることができた。たとえば、Acta Slavica Iaponica誌第43号には、同書に対する書評と併せて、秋山による書評へのレスポンスも掲載されることになっている。ロシア帝政期末期から革命・内戦そしてソヴィエト連邦創設期にかけてのキルギス人首領一族の動向に関して、昨年度実施した国際ワークショップの英文ペーパー"Four years in Xinjiang: Considering the impact of the Kirghiz heads of the 1916 revolt on the Soviet building"にもとづいて英語論文の執筆に取り組んだ。今年度内に投稿することは叶わなかったが、英文査読誌への掲載にむけて引き続きブラッシュアップしてゆく。また、昨年国内学会で行なった口頭報告「遊牧英雄から民族英雄へ?クルグズ首領シャブダンをめぐる歴史実践を中心に」の英語論文化に取り組んだ。こちらについては、"Nomadic Hero to National Hero? An Analysis of the Kyrgyz Chief Shabdan in Historical Practices"として同様に英文査読誌への投稿を予定している。上述の研究を深化させ、より広い文脈に位置づけてゆくために、新たな研究にも挑戦した。この意味において、2021年10月より活動開始した、早稲田大学高等研究所「人新世と人文学」プロジェクトは大きな刺激となっている。本セミナーシリーズ(第3回)公開講演会において「山と人新世:中央アジア山岳地域の歴史研究から考える」と題する報告を実施し、環境ファクターを交えた政治社会史の再解釈と可能性を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの世界的蔓延による海外渡航の制限のため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの世界的蔓延のみならず、ロシアによるウクライナ侵攻のため、ロシア・モスクワでの文書館調査は断念せざるをえない。英文による論文作成に注力し、成果発信に集中して取り組みたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの世界的蔓延により海外調査を断念せざるをえなかったことによる。
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