2022 Fiscal Year Annual Research Report
Life in Eastern Wu Changsha in the Three Kingdoms Period: Lifecycle and Cohabitant Family Members
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18K01013
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鷲尾 祐子 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (60642345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 走馬楼呉簡 / 住民家族名簿 / 世帯 / 年齢 / 親族構成実態 / 地域統治 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、再集成済みの各住民家族名簿につき、同じ郷里の近接する時期の簿によって、記載内容・戸の復元を再確認した。また、郷里構成員の大半を把握することが可能な六年都郷簿・五年常遷里簿を集成、データベース作成を行った。 確認した住民家族名簿に基づき、作成年代・対象が明かな簿に絞り、データを取り直した上で検討した。性別・年代別人口構成によって、出生時まびきされる女性が多かったこと、複数の簿のデータの比較により、経済的要因が大きいことが明かになった。成人までの段階では、父母のほか父の兄弟や兄弟に養育されている事例が多い。さらに、婚姻年齢(初婚年齢と、婚姻可能年齢)・夫婦の年齢差・年齢に応じて同居する親族がいかに変化するか、婚家と実家のどちらで生活しているか、などを検討した。初婚年齢は14~20歳、婚姻可能年齢は従来の想定(40歳)と相違し五十代までであること(男性はそれ以降も可能)、夫との年齢差は年齢が上がるに応じ大きく変化(特に40代での変化が顕著、夫の死去に伴う配偶者の変化のため)すること、男性の死後再婚することが一般的であったこと、数回配偶者を変えている可能性が高いこと、60歳以降は実家で生活する者は殆どおらず、夫がいない場合子と生活するか、婚家にて生活していることを確認した。また、夫・妻それぞれの親族が同居している例もあり、生活のために便宜的に多様な親族が同居する実態が看取された。さらに、同地域出土の簡牘や、典籍にみえる女性の事例を参照し、人生の過程を復元、性差について検討した。 研究期間全体を通して、住民家族名簿を家族・女性の史料として用いるための基礎的研究と、各簿修正を完了した。住民家族名簿による女性のライフサイクル検討についてもほぼ完了した。 女性史総合研究会・東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所研究課題の研究会で成果を発表し、参加者の教示を得た。
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Research Products
(5 results)