2022 Fiscal Year Research-status Report
中国大躍進運動下の農村人民公社――体験者に聞く東北地方の集団化と生活史
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18K01016
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
横山 政子 志學館大学, 人間関係学部, 教授 (80740349)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中国 / 集団化 / 生活史 / 東北地方 / 農村 / 人民公社 / 大躍進 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、当初の計画にある海外渡航をともなう中国現地でのインタビュー調査や文献史料調査を実施することはかなわなかったが、以下のような研究実績を修めることができた。 1,2022年春に、中国ジェンダー研究会編として出版した『(アジア遊学)中国の娯楽とジェンダー 女が変える/女が変わる』の中文版を出版することが決定した。そのため所収の拙稿「東北農村の「小喇叭」――有線放送と私的空間の集団化」の翻訳作業を行なった。 2,上記1の内容について、早稲田大学20世紀メディア研究所主催の研究会にて、「中国大躍進期における東北農村の「小喇叭」――有線放送と私的空間の集団化」と題して発表する機会に恵まれた。 3,三菱財団人文科学研究助成(鄭浩瀾(慶應義塾大学)代表「毛沢東時代の中国における革命と「親密圏」――民間史料と口述史が語る恋愛、婚姻と子育て」)に参加することになった。社会主義下の民衆の生活世界を民間史料から解明しようとするプロジェクトである。日中共同研究として研究会がオンラインで開催され学問的に啓発されている。 4,米国で開催される国際学会Association for Asian Studies(AAS)の年次大会において、三菱財団研究助成の有志メンバーによる発表が採択された。“Activities and Intimacy in Villages: The Case of Heilongjiang Province,1958-1965”と題して、研究発表する機会を得た。初めての英語圏での発表であった。在米研究者などから有意義な助言を頂戴し、国際的に発信することが研究の発展につながることを改めて実感した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来計画していた海外渡航をともなう中国現地でのインタビュー調査や文献史料調査を実施することはかなわなかった。しかし、三菱財団人文科学研究助成のプロジェクトに参加したことにより、日中をオンラインで繋いだ研究会に参加し、また国際学会に参加して米国にて研究発表を行なうことができた。このように中国語圏や英語圏での研究会や学会参加の機会が巡ってきたことにより、国際的に学術交流を深めることができたとともに、予期せぬ研究の発展につながることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次の2023年度は、計画されている二つの出版物に収める拙稿を仕上げねばならない。ひとつは『(アジア遊学)中国の娯楽とジェンダー 女が変える/女が変わる』の中文版を出版するが、それに所収予定の拙稿「東北農村の「小喇叭」――有線放送と私的空間の集団化」である。もう一つは、三菱財団人文科学研究助成(鄭浩瀾(慶應義塾大学)代表「毛沢東時代の中国における革命と「親密圏」――民間史料と口述史が語る恋愛、婚姻と子育て」)の日中共同研究の成果として出版する学術書である。こちらは民衆の日常生活史として、農村で20世紀中葉の大躍進期に数多く誕生した託児所に着目する。農村託児所の東北における実態を解明して、農村の年配女性と村落内部の相互扶助との関係性を考察する。 さらにこれまでの研究業績をまとめた、1950年代~60年代の中国東北農村における社会主義下の民衆の日常生活に関する単著の準備に着手することが目標である。
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Causes of Carryover |
次年度には、これまで新型コロナウイルス感染症の影響で実行することができなかった史料調査および史料収集などに充てる予定である。
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Research Products
(2 results)