2019 Fiscal Year Research-status Report
拓本精査と画像アーカイブ化による突厥碑文の歴史学的研究
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18K01017
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 宏節 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (10609374)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 突厥 / 突厥碑文 / ウイグル / モンゴル / トルコ / 遊牧民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は国内において、突厥碑文のテキスト(キョル・テギン碑文、ビルゲ・カガン碑文、トニュクク碑文、キョリ・チョル碑文、オンギ碑文、シネ・ウス碑文、タリアト碑文、テス碑文など)読解を実施した。突厥第二可汗国からウイグル可汗国にかけて、7世紀後半から9世紀初頭の古代トルコ語史料を網羅的に把握し、拓本史料のアーカイブ化に際してポイントとなる拓本資料をしぼる目的がある。そのため改めて所蔵機関の情報収集も実施した。 また、現地調査と拓本採取を実施していたヒルギシーン・オボー碑文(バヤンホンゴル県に所在)については訳注を作成し、口頭報告の内容を増補修訂し論文投稿の準備をしている。これは近年発見された突厥碑文のひとつであり、拓本を発表し、新たな単語や用例を追加することは、古代トルコ語史料を網羅的に把握するためには不可欠の作業である。 そして海外では、モンゴル国の首都ウランバートル南方のバインツァガーン遺跡(トヴ県バインツァガーン郡の中心地より数キロ)を現地調査した。本遺跡は、鳳凰が線刻されたサルコファガス(石槨)が現存する。サルコファガスは2基が1つのマウンドに存在するものと見られ、バルバル列石なども部分的に観察できる。その遺物と遺跡の現況から、突厥第二可汗国の王族に密接に関係するものと推測され、今後、発掘調査による精査が期待される。近隣の遺跡の状況に鑑みれば、文字史料たる碑文が出土する可能性もある。そこで、現地の科学アカデミー考古学研究所のエレグゼン所長、ツォクトバータル氏、フンドゥ氏とともに今後の研究計画を協議している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
突厥碑文テキストの選定などは進められたものの、また現地モンゴルでの最新史料状況は把握できたものの、本研究課題の目的である、拓本そのものの電子画像化とアーカイブ化が遅れている。国内所蔵拓本について、実際に所蔵拓本の検査ならびに撮影などを依頼しようとした矢先、新型コロナウイルス感染拡大をうけ、国内所蔵機関へのアクセスや業者への依頼などができなくなってしまった。海外へのアクセスについては、当面不可能になるが、国内の作業については各研究期間の利用状況を把握しつつ計画を見直したい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大をうけ、電子情報公開の有用性は奇しくも高まることとなった。最低限の根本となる史料を確たるレポジトリなどに掲載しておくことは、斯学全体に寄与することになる。本年度も基本的に、防疫体制を十分に考慮した上で、本研究の目的である拓本資料のアーカイブ化を推進することにしたい。 まず、本務校からは近隣となる、広島大学所蔵のキョル・テギン碑文拓本について、再度、その状態を精査し、写真撮影の段取りをはかる。そして、所蔵研究室の研究者、大学レポジトリ(図書館)の運営責任者と協議し、画像写真の掲載を現実のものとしたい。その際に、データベースとして他研究機関における所蔵状況も掲載し、あるいは遺跡の現状などを掲載し、多方面から活用できるデータにすることとしたい。
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Causes of Carryover |
20年2月以降に拓本アーカイブ化のために使用できなかった経費の一部である。 この繰り越された予算に関しては、所蔵機関における拓本の精査、画像化のための見積もりに充当する予定である。
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