2019 Fiscal Year Research-status Report
ナシ学確立を目指した歴史史料の基盤整備と前近代ナシ族社会経済史の研究
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18K01018
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
山田 勅之 北海商科大学, 商学部, 教授 (40582995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白館 戒雲 大谷大学, 文学部, 名誉教授 (10179062)
黒澤 直道 國學院大學, 文学部, 教授 (30383988)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナシ学 / ナシ族 / 歴史史料 / 社会経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
・調査:(1)2019年8月11日~29日(黒澤直道教授・山田勅之教授)、雲南省にて以下の通り調査を実施した。①チベット語資料『シトゥパンチェン自伝』記載のチベット語地名の同定のためシャングリラ市北部を中心に調査した。②トンバ村とサンバ村それぞれのトンバ(祭祀者)より、チベット文字・トンバ文字合壁の土地契約文書記載内容の解釈及び教授をいただく。③麗江市郊外にて家譜と寺院志などの調査、及び資料の写真撮影。麗江近郊の龍蟠とラシ海付近にて家譜と墓碑の調査、及び資料の写真撮影。④上述のチベット語資料記載チベット語地名の同定のため大理州の鶏足山を調査。⑤大理大学民族文化研究院にて『麗江地名志』編集出版に向けて打ち合わせ。⑥成都の西南民族大学にて本年9月実施及び来年度予定の講座について打ち合わせ。(2)2019年12月21日~2020年1月5日(黒澤直道教授・山田勅之教授)雲南、四川、台北にて以下の通り調査した。①徳欽にて上述のチベット語資料記載のチベット語地名の同定のため、現地研究協力者から情報供与をいただく。②四川俄亜地方の調査。ナシ年の参与観察、チベット語史料の発掘し撮影した。③昆明にて雲南社会科学院のタムディン研究員と来年度実施予定の国際学術研究会について打ち合わせ。④台北の国家図書館と国史館にてナシ族関連文書の調査。 ・研究会は2回(国内)、講演は1回(中国)実施。詳細は別途参照。 ・研究図書出版予定 黒澤直道・和力民・山田勅之『ナシ語地名彙編(附歴史参考史料)』社会科学文献出版社(2020年6月) ・論文雑誌 黒澤直道「ナシ族のトンバ文字による家譜―廸慶チベット族自治州サンバナシ族郷の『習氏家譜』」『東洋学報』掲載決定。なお、発表済み論文については別途参照。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の調査成果に基づいて、現在までの進捗状況は以下の通りである。①収集した族譜や石碑の翻字。③シャングリラ北部と鶏足山の地名調査。徳欽周辺の一部地名の同定。一方で、ナシ族歴史史料目録のうち漢文部分が完成に至っていない。他方で俄亜地方でのチベット語文書の存在、及び台北でのナシ族関連文書の存在の確認は次回プロジェクトにもつながる大きな成果であった。黒澤教授が主となって進めている、「ナシ語地名彙編(附歴史参考史料)」が本年6月に中国で出版予定である。以上から、(2)「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査研究は以下のように考えている。 ①地名調査:シャングリラ~郷城~徳欽~維西~麗江間の地名調査。②ナシ族歴史史料目録のうち漢文部分を完成させ、チベット語、満洲語、モンゴル語部分の草稿を作成する。③チベット文字・トンバ文字合壁の土地契約文書に関する論文発表。④雲南社会科学院のタムディン研究員を招待して、「チベット語民間文書」をテーマに国際学術研究会の実施。しかしながら、コロナウイルスの感染状況によっては、次年度へ繰り越しになる可能性がある。
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Causes of Carryover |
白館戒雲名誉教授への分担金において、書籍・資料購入が発生しなかったため、残額が生じた。本年度へ繰り越し処理を行い、書籍・資料の購入にあてる。
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Research Products
(6 results)