A research for preservation of historical materials for the conflict areas : a case study of preservation of Iraqi newspapers

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18K01019
• Research Institution: Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization
• Principal Investigator: 高橋 理枝 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 学術情報センター図書館情報課, 課長 (00534877)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80598706)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 資料保存 / 新聞 / イラク

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、フセイン体制時代のイラクの新聞を取りあげ、紛争地域の史資料を保全し、将来にわたり学術研究および紛争地域の復興に活用するため、当該地域外の図書館における可能かつ効果的な貢献方法について明らかにすることを目的としている。
2021年度は、前年度に作成したデジタル化の仕様に基づき、アジア経済研究所図書館（以下、アジ研図書館）所蔵のイラク新聞のうち保存対策を施していない15紙をデジタル化した。原紙からのデジタル化は、国会図書館も未着手の事業で、図書館界では先行例が少なく、試行錯誤の連続であった。実際に見積もりを取ってみると想定以上に単価が高く、また見積もり依頼した事業者によって経費のかかる工程が異なるため、様々な事業者にヒアリングを重ね、最終的に画素数とカラー/グレースケールの対象を変更することで、予算内で予定の15紙をデジタル化することが可能となった。
納品後の図書館内での保存媒体については、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスクなど選択肢があり、検討が済んでいなかった。これについては、国会図書館やデジタルアーカイブの専門家へのヒアリングやオンライン講演会への参加等を通して情報収集し、保存性と管理面の双方から検討した結果、当面はハードディスクに保存することとした。閲覧にはデジタル化の際に業務委託先から納品されたDVDを提供し、HDDは保存用として、2台に同じデータを保存して冗長化し、年1回データ可読性等のチェックを行うこととした。
以上により対象としていたイラク新聞への保存対策が完了した。
国内外他館でのイラク新聞の所蔵調査や各紙の性格調査もほぼ終了し、アジ研図書館にしか所蔵のない新聞が複数あることが今回改めて浮き彫りとなった。イラク新聞の性格や世界における所蔵状況等については、今後ウェブサイト等で小論を発表していく予定である。