2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01023
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
芹生 尚子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70783702)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 紀恵 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80187947)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | アンシアン・レジーム / 七年戦争 / 兵士と将校 / 軍隊 / 民衆 / 感情 / 改革 / 啓蒙 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、芹生は、18世紀後半の改革期において王権と将校と兵士の関係がどのように構築されるのかについて個別研究の深化を図った。2018年8月に実施した現地調査において、改革提言を行う目的で作成された将校たちのメモワール(フランス防衛文書館所蔵)の調査を行うとともに、啓蒙期に刊行された軍事に関する辞書また百科事典そして将校による回想録を渉猟した。また、啓蒙と軍事の緊密な関係について近著を記したアメリカ人研究者クリスティー・ピキケーロ氏の講演を東京外国語大学、海外事情研究所において開催し活発な討論を通じて、日本における西洋史研究者とアメリカにおけるフランス史研究者との交流に寄与することができた(Christy Pichichero, “The Militry Enlightenment”, 2018年5月16日)。また、フランス防衛史研究所とリール大学北フランス歴史研究所の共催する国際シンポジウムで報告を行うことにより軍事史の新しい動向を担うヨーロッパの研究者と意見交換を行うことができた(2018年12月7日)。芹生は、別経費で開催された国際ワークショップ「グローバルな視座から考える戦争の暴力・暴力・ジェンダー」において、これまでの研究成果を報告し、日本また欧米のジェンダー史研究家との学際的な討論から新たな研究視角を得た(東京外国語大学、海外事情研究所, 2019年1月19日)。研究分担者高澤は、『建築家ヴォーリスの「夢」』(勉誠出版)の刊行を通じて戦争の記憶を建築家の職業的な営みのなかに読む作業を行なった。研究協力者である正本は、都市史の観点から軍事やポリスにアプローチしてきた近世史家カトリーヌ・ドニの最新の研究成果をまとめた論考を翻訳し、芹生もドニの同論考を含む小特集号を学術雑誌で共編し彼女の一連の研究について紹介文を書く機会を得た(『クァドランテ』2019年3月)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時における計画のとおり2018年度には将校の観点から兵士との関係にアプローチするための史料調査にあてられた。 フランスとアメリカと日本の研究者の研究ネットワークを作ることはプロジェクトを通じた目的であり、 クリスティー・ピキケーロ氏の招聘も2020年度に予定していたが、彼女の著作の刊行の機会に実現することができタイムリーであった。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時点での計画にしたがって2019年は、主に兵士の観点を明らかにするためのための史料調査を行うとともにまたその成果について研究集会で中間報告を行うことにあてられる。それに並行しながら2018年度において行った口頭発表を論文にまとめる。 芹生と高澤は2020年3月にフランスで研究集会を共同企画している。日本の日本史研究者、フランスのフランス史、日本史研究者とともに、身分制社会の周縁部にいる人びとと権力の関係、ポリスおよび軍事行政の展開とその変容を議論のひとつの柱とする予定である。
|
Causes of Carryover |
芹生と高澤は2020年3月にフランスで研究集会を共同企画している。日本の日本史研究者、フランスのフランス史、日本史研究者とともに、身分制社会の周縁部にいる人々と軍事や治安行政を通じて行使される権力との関係を議論のひとつの柱とする予定である。そのためのに旅費に使用する必要があるため。
|
Research Products
(6 results)