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2019 Fiscal Year Research-status Report

New Historical Documents of Modern America and Atlantic History

Research Project

Project/Area Number 18K01025
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

和田 光弘  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (10220964)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 森脇 由美子  三重大学, 人文学部, 教授 (10314105)
久田 由佳子  愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40300131)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsアトランティック・ヒストリー / 大西洋史 / エヴァンズ・データベース / オネイダ湖運河 / S・ベッカート
Outline of Annual Research Achievements

本研究では東海地区における共同研究という機動力を最大限に生かしつつ、地域・時代ともに幅広い個別事例を収集・分析し、そこから得られたさまざまな知見を総動員してアトランティック・ヒストリーの視座の有効性を示してゆくことを目標とする。研究代表者・研究分担者は、それぞれの担当する研究課題を出発点として本研究のテーマにアプローチした。 研究代表者の和田光弘は、大西洋史や記憶史の視座も援用しつつ、初期アメリカ史の概説書、『植民地から建国へ――19世紀初頭まで(シリーズ アメリカ合衆国史①)』(岩波新書)を著し、当該アプローチの有効性について広く一般への啓蒙に努めた。また、個別の適用例として、18世紀末にマサチューセッツ州イプスウィッチで死去した地方名士J・チョートの遺産競売に関する史料の分析を試みた。当該史料は相続の際の検認手続きのために必要な、いわゆる遺産財団に属する家財の処分等に関して克明に記した報告書で、これまでかの地の文書館等に収められたことのないオリジナルの史料である。この史料の分析を通じて、「シス大西洋史」の一端を明らかにできると思われる。研究分担者の森脇由美子は、引き続き、ニューヨーク州マディソン郡サリヴァンの有力者ゼブロン・ダグラスの邸宅に残された未刊行史料「オネイダ湖運河文書」の調査を行うとともに、オネイダ湖運河およびゼブロン・ダグラスについてニューヨーク州議会などの公文書および19世紀に刊行された地方史などから探り、「ニューヨーク州における市場革命と運河建設」『論集(三重大学人文学部)』第18号にまとめた。研究分担者の久田由佳子は米国において史資料を収集するとともに、アトランティック・ヒストリー研究に携わるハーヴァード大学教授のD・アーミテイジと交流し、さらに愛知県立大学でのシンポジウムでは、ハーヴァード大学教授S・ベッカートをゲストに迎えて、司会をつとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の研究の進捗状況は、きわめて良好であった。研究代表者の和田光弘は、前述のように初期アメリカ史の概説書(岩波新書)を著し、大西洋史のアプローチの有効性について広く一般への啓蒙に努めた。また、18世紀末にマサチューセッツ州イプスウィッチで死去した地方名士J・チョートの遺産競売に関するオリジナルの史料を米国のディーラーから入手し(科研費は使用していない)、当該古文書の分析を鋭意試みている。また、資料等の収集に関して本年度の最大の成果は、和田が中心となって、しかも本科研費を一切使用することなく、「初期アメリカ刊行物史料集成:エヴァンズ・データベース(America’s Historical Imprints, Series I: Evans, 1639-1800)」を名古屋大学に導入したことである。このデータベースは、17・18世紀にアメリカで出版されたほぼ全ての刊行物を網羅し、大西洋史研究の重要な基礎資料となりえる。NII-JUSTICE共同購入コンソーシアムに採択されていることも助けとなって、本学での導入を成功させたが、共同研究をおこなっている愛知県立大学、三重大学にとっても貴重な成果といえる。研究分担者の森脇由美子は、エリー運河の支線オネイダ湖運河に関する史料の分析を進め、その成果に一端を論文として公表した。モホーク渓谷からオネイダ湖周辺にかけての地域の重要性が植民地時代より認知されていた事実を、先住民・フランス・イギリスの三者の関係など、この地域の歴史を辿る中で明らかにするとともに、デジタル史料を含む種々の史料からダグラスの人物像にも接近し、企業家的入植者としての姿を捉えた。研究分担者の久田由佳子は、前述のシンポジウムの司会の他、アメリカ経済史学会2019年度5月例会や、第7回プロジェクト研究会(東海ジェンダー研究所)において関連の報告を鋭意おこなった。

Strategy for Future Research Activity

主要設備としては、エヴァンズ・データベースの活用とともに、関連史資料の収集を引き続き進めたい。この共同作業を通じて、東海地区の主要国公立大学3校のアメリカ史研究者間のネットワークが強固となり、関連文献等も重複なく充実させることが可能となる。研究代表者の和田は、大西洋史の諸相や史料の利用に関する諸問題を総合的に考察するとともに、個別の適用例として、マサチューセッツ州イプスウィッチの地方名士ジョン・チョートのオリジナル文書(和田所蔵)の分析に引き続き邁進し、大西洋史の下位分類たる「シス大西洋史」の具体相を明らかにする。研究分担者の森脇は、ニューヨーク州マディソン郡サリヴァンの個人宅から発見された未刊行史料のオリジナル(森脇所蔵)の分析を引き続きおこなう。大西洋の彼方の市場へのアクセスがいかにして可能となったのか、「シス大西洋史」の実践例となろう。研究分担者の久田は、ピーボディエセックス博物館の史料(乗組員の結婚証明書の他に、鯨油の販売先、保険証券等)の調査や、捕鯨業に従事する男性とその妻たちの手紙の分析などを引き続きおこない、陸に残された女性たちの生活を明らかにし、マサチューセッツの捕鯨基地の経済的変容、大西洋経済における位置づけなどについて鋭意考究する。さらに、来年度は本科研の最終年度であることから、3名の連絡を密にして、研究の統括をおこなう予定である。

Causes of Carryover

各自、主要設備として、関連史資料の収集を鋭意おこなったが、その金額が予定より少額であったことや、年度末の米国での史資料収集の予定が、新型コロナの影響で実施できなくなったことなどから、未使用額が生じた。来年度は、関連史資料の収集はもとより、海外での研究調査なども、可能であれば、積極的に実施する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 「ニューヨーク州における市場革命と運河建設―ゼブロン・ダグラスの運河建設事業を手掛かりに―」2019

    • Author(s)
      森脇由美子
    • Journal Title

      『論集』(三重大学人文学部哲学・思想学系、教育学部哲学・倫理学教室)

      Volume: 第18号 Pages: 67-80

  • [Presentation] 「1830年代マサチューセッツ州ローウェルにおける工場ストライキ再考」2019

    • Author(s)
      久田由佳子
    • Organizer
      アメリカ経済史学会
  • [Presentation] 「アメリカ女性史における「女性の領域」論再考」2019

    • Author(s)
      久田由佳子
    • Organizer
      プロジェクト研究会(東海ジェンダー研究所)
  • [Book] 『植民地から建国へ――19世紀初頭まで(シリーズ アメリカ合衆国史①)』2019

    • Author(s)
      和田光弘
    • Total Pages
      268ページ
    • Publisher
      岩波書店
    • ISBN
      978-4-00-431770-8
  • [Remarks] 名古屋大学文学部・人文学研究科・西洋史学研究室・教員紹介・和田光弘教授

    • URL

      https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/doh/staff/page-wada.html

URL: 

Published: 2021-01-27  

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