2020 Fiscal Year Annual Research Report
New Historical Documents of Modern America and Atlantic History
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18K01025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和田 光弘 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (10220964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 由美子 三重大学, 人文学部, 教授 (10314105)
久田 由佳子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40300131)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アメリカ史 / アトランティック・ヒストリー / 大西洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本科研の最終年度であるが、周知のようにコロナ禍のために、当初予定していた海外での調査が不可能となり、方向転換を余儀なくされた。にもかかわらず、研究代表者・研究分担者ともに、それぞれ対象とするテーマに切り込み、論文を上梓した。まず、研究代表者の和田は、18世紀末にマサチューセッツ州イプスウィッチで死去した地方名士J・チョー トの遺産競売に関する新史料(和田私蔵)の翻刻・分析を行い、上梓した論文「建国期マサチューセッツの地方名士ジョン・チョートに関する新史料についての一考察(その1)」において種々の新事実を明らかにし、「シス大西洋史」につながる道筋を示した。また、昨年度出版された岩波新書(和田『植民地から建国へ』)が、今年度に入って『朝日新聞』の「天声人語」(7月6日)や書評欄(9月26日)で紹介されたこともあって、第4刷まで増刷され(12月)、kindle版も出た。和田編著『大学で学ぶアメリカ史』も第8刷まで増刷された(8月)。さらに『中日新聞』の記者からの取材に応じ、その内容が記事(7月17日)となった。研究分担者の森脇は、論文「19世紀アメリカのブラックフェイス・ミンストレル」を著し、人種差別や文化盗用として言及されてきた19世紀の大衆芸能ブラックフェイス・ミンストレルについて詳細な研究史的検討を行った上で、ナショナルな枠組にかわる大西洋史的視点からの分析を試みた。同じく研究分担者の久田は、論文「奴隷制討論禁止規則とジョン・クインジー・アダムズに対する問責をめぐって(2)」において、1830年代に大西洋の対岸、イギリスに倣って展開された反奴隷制請願運動に対して、連邦議会下院で制定された「箝口令」に関する史料を分析し、当時、下院議員だったJ・Q・アダムズをめぐる動きを精緻に析出した。なお、3年間を通しての最終的なまとめは、研究成果報告書にて公表する予定である。
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Research Products
(3 results)