2022 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative history of meat in Germany and Japan: production, safety, society
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18K01041
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
光田 達矢 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (90549841)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食肉 / 獣疫 / 防疫 / 家畜 / ドイツ / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アジアを中心に食肉消費が飛躍的に伸びているため、生産・安全・生活への影響を心配する声が強まっている。世界的に拡大する畜産業が及ぼす環境破壊、抗生物質の乱用による家畜感染症リスクの向上、過度な動物性食品摂取による健康被害など、「肉食化」がもたらす「弊害」が露わになっている。本研究は、肉食化を可能とした要因を探り、ドイツと日本の対照的な過去を分析することで世界的に議論されている肉食化問題に、比較史学的な視点を提供することを目的としている。
当該年度は、コロナ禍の厳しい制限が徐々に解かれ、現地の調査研究に加え国際学会での対面発表を実施することができた。ドイツの現地調査に関しては、残っていた図書館の文献および公文書館史料の発掘が完了し、情報を整理・分析する段階に移行した。東ヨーロッパから輸入される安価な食肉がドイツの肉食化を促進するのに重要であった一方、国内の農業団体にとっては脅威であったため、規制強化の一環として家畜衛生政策が厳格化したことを明らかにすることができた。一方、日本の肉食化に関する分析は進んでおり、複数の学会で報告を行うことができた。その際、植民地なしに日本の肉食化は実現困難であった観点を掘り下げ、生牛として移入された朝鮮牛が、一種のロンダリングを経て日本の消費者に本邦牛として販売されるようになった経緯を示した。
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