2023 Fiscal Year Annual Research Report
Sister Republics and National Festivals: Exporting the Revolution during the Directory period
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18K01043
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山中 聡 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 准教授 (80711762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フランス革命 / 総裁政府 / 姉妹共和国 / 国民祭典 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、フランス革命期の後半にあたる総裁政府期において、特にイタリア地域に設立された姉妹共和国(フランスの衛星国的存在)を中心に、これらの国々で挙行された国民祭典、および革命記念日の祝賀行事の様相を、議会史料・政府文書・新聞史料を用いて検証した。また、それらの祭典・祝賀行事の様相を、フランス本国で総裁政府期に挙行された国民祭典の実施の様相と比較する作業も行った。フランス本国での祭典に関する史料としては、祭典プログラムや挙行報告、および新聞史料を用いた。その際、フランス本国で起こった政治的事件が、姉妹共和国の祭典・祝賀行事において、どのように評価されているのか、そして、姉妹共和国で生じた政治状況が、同国で挙行された祭典・祝賀行事内容に、いかなる影響を与えているのかについて、注意を払った。これらの作業で得た情報については、まだ整理が完了しておらず、明確な結論を出すには至っていない。しかしながら、当時のフランス政府が推進した「革命の輸出」との関連において、興味深い項目を知ることができた点は確かであり、今後の論文作成に活用したいと考えている。 一方で、本年度は、学術雑誌に論文(「ブーレ・ド・ラ・ムルトの「ブリュメール18日」-公民宣誓の改定と革命の終結」『西洋史学』276号、1-19頁)を掲載することができたが、本論文を作成する過程で、重要な史実を知ることができた。それは、姉妹共和国の設立が、後に「ブリュメール18日のクーデタ」を起こしてフランス革命を終わらせた「ブリュメール派」の中核的存在であるブーレ・ド・ラ・ムルトによって、否定的に評価されていることである。これは、姉妹共和国と国民祭典の相互関係を明らかにしようとする本研究課題において、重要な収穫であり、総裁政府の対外政策と革命の終結の関係を理解する上でも、貴重な知見となった。
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