2021 Fiscal Year Research-status Report
権力分有の変遷から描く補完的ヨーロッパ史:エストニア、スペイン、モルドヴァの事例
Project/Area Number |
18K01049
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 良知 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20347389)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エストニア / モルドヴァ / カタルーニャ / 文化自治 / 民族間関係 / 未承認国家 / 複数国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、本来2020年度で終了する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響のため、2020年度、2021年度とも研究計画に沿った研究を行うことができず、2022年度まで延長することとした。 もともとの研究計画では、初年度の各自の調査、2年度目の代表者・分担者・協力者によるモルドヴァ調査ののち、最終年度にカタルーニャ調査と現地における意見交換などを再度全員で行ったうえで、取りまとめを行い、国際学会にてその成果を公表することが予定されていた。しかしながら、最終年度の調査が未実施のため、2年度目までの成果につき、代表者が国際学会にて部分的な研究報告(主としてエストニアの事例に関わるもの)を行った。 冒頭に示した通り、2021年度も現地調査が実施不可能であったため、当該年度の研究活動は、主として収集済みの文献資料の精読・整理・知見の共有とオンライン上での情報収集に限定したものとなった。それゆえ、具体的な進捗は極めて微々たるものになってしまったが、以下のようにまとめることができる。ヨーロッパで「国民国家」化が政治問題化する中で、民族カテゴリーの相対的重要性が高まる19世紀後半以降、自決の主体としての民族をめぐる競合や交渉が国内・国際両分野の政治制度構築において大きな役割を果たすようになった。その際利用・活用された「文化自治」をいかに理解し歴史の中に位置づけるかが本研究では肝要である。とりわけ、近代化の一方で、前近代的な発想がその底流にあることについても検証が必要であると考えている。こうして争点化された民族間関係は、実は冷戦期のイデオロギー対立が政治世界を制しているように見える時代にも、不安定要素として残った。現在における未承認国家や複数国籍状態は、こうした要素の別の現れ方として分析可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度以降の新型コロナウイルス感染症の影響により、最終年度に予定している現地調査および国外研究者との意見交換が実施できておらず、最終的な研究成果の取りまとめを十分に行うことができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
・2021年度に刊行された研究協力者の単著を手掛かりに、本研究課題の目的である権力分有から見るヨーロッパ史の叙述の可能性を検討し、まとめることで成果につなげる。 ・未実施のままになっている現地調査を実施し、最終的な取りまとめの方向性を確定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の引き続きの影響により、研究計画の段階で予定していた現地調査および現地における意見交換等が実施できていないため。2022年度中に、計画通りの調査を実施し、最終的な研究成果としてまとめる。
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Research Products
(3 results)