2021 Fiscal Year Research-status Report
中世盛期スコットランドの王国共同体形成過程における教皇特任裁判官による紛争解決
Project/Area Number |
18K01054
|
Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
西岡 健司 大手前大学, 国際日本学部, 准教授 (70580439)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | スコットランド史 / 中世史 / 教会史 / ローマ教皇 / 紛争解決 / 王国共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までにおこなった教皇特任裁判に関する量的分析の成果を「中世盛期スコットランドにおける教皇特任裁判官による紛争解決 -人的交流の観点から-」と題する論文にまとめ、『中近世ヨーロッパ史のフロンティア』(髙田京比子ほか編、昭和堂)に寄稿した。そこでは、12~13世紀のスコットランドで、王国共同体の形成につながる人的交流の促進において教皇特任裁判が果たした役割について、大局的な見取り図を提示した。しかしながら、地域的差異や通時的変化については十分な検討が及ばなかったため、それらの傾向を把握するために、引き続き裁判データの量的な分析を進めた。 一方で、教皇特任裁判を通じて人的ネットワークが編み上げられていくプロセスをより具体的に明らかにするために、裁判に関わった当事者たちのなかで比較的まとまった情報が得られる人物を複数ピックアップし、彼らの活動歴を詳細に跡づけて検討する質的分析を進めた。 ただし、本年度も引き続き新型コロナウィルス感染症の影響によって、スコットランドでの史料調査をおこなうことがかなわず、必要な情報を欠いた状態で作業を進めざるを得なかった。本年度は研究全体をまとめる最終年度にあたっていたが、当初の計画で想定していただけの十分な成果をおさめるに至らなかったため、やむを得ず研究期間の延長を申請し、感染症の状況がおさまるのを待って、スコットランドでの史料調査を踏まえたうえで、研究成果をまとめることとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響により、予定していた海外での史料調査が実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の状況が十分に改善され次第、延期しているスコットランドでの史料調査を実施し、これまでの分析において欠落している部分を補ったうえで、最終的な研究成果をまとめる。
|
Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響により海外渡航調査が実施できなかったため、主として旅費として予定していた予算が未使用となっている。感染症の状況が、海外調査を十分に実施できるほどに改善し次第、旅費として使用する計画である。
|