2019 Fiscal Year Research-status Report
17世紀ドイツ語圏の日本人描写と「宗派化」―修道会間の相違に注目して
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18K01056
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大場 はるか 久留米大学, 文学部, 准教授 (40758637)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベネディクト会 / イエズス会 / ドイツ語圏 / キリシタン / 近世ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2019年の夏に十分な調査期間を確保することができたため、2020年2~3月に実施予定であった調査も含め、2019年8~9月に1ヵ月近くドイツ語圏南部で史料調査を行った。一部の調査時期を早めたのは、11月にノルウェー科学技術大学で開催されるワークショップに招聘されたためである。2019年夏の史料調査では、スイスのゾーロトゥルンのイエズス会の教会にある日本人殉教者とフランシスコ・ザビエルの絵画を調査した。この絵画は、修復作業によって長年調査できなかったが、今回無事に現地で調査することができた。また、チューリヒのイエズス会の図書館・文書館で、ゾーロトゥルンに関する先行文献や史料の収集を行った。その後、ウィーンに移動して文献調査を行い、さらにザルツブルクに移動してArno Strohmeyer教授とベネディクト会劇の研究に関する意見交換を行った。そしてミュンヘンに移動して、ここを拠点にインゴルシュタットやアイヒシュテットのイエズス会関係の教会や博物館を訪ね歩き、日本関係の絵画や聖遺物の調査を行った。この過程で新たな日本人殉教者の絵画を3つみつけることができたのは、大きな収穫であった。これらの調査の成果をふまえ、11月14日にノルウェー科学技術大学のワークショップで報告を行った。このワークショップは将来の国際共同研究の企画を兼ねており、有意義な意見交換を行うことができた。その後、2019年秋・冬の間にさらに考察を深め、中央大学で2020年3月に開催される演劇史の国際シンポジウムで成果を発表する予定であったが、この学会はコロナウィルスの広がりの影響で中止となってしまった。このため、まとまった成果の発表は本年度は日本では行えなかった。なお、本研究との関係で2019年6月初旬に二国間交流事業(セミナー)をオーストリア・ドイツ・デンマークの研究者と実施したことも、ここであわせて報告しておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまとまった成果の発表がコロナウィルスの影響で行えなかったが、当初予定していなかったノルウェーでの国際ワークショップの発表や、国際共同研究の企画の進展がみられた。また、史料調査も予定通り上首尾に実施することができているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に関しては、コロナウィルスの影響により国際学会の中止・延期が相次いでいるため、あまり今後の予想ができない。しかし、紙媒体での研究成果の発表は実施できるため、この準備に努めたい。また、分野が近い研究者とは定期的にオンラインでの学術交流を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定には、史料調査に加えて11月にノルウェーの国際ワークショップに参加する計画はなかった。ところがこれが加わったため、文献購入などは自費で賄うことにし、渡航費を科研の予算から支出するため、次年度の予算から30万円を「前倒し支払い請求」していた。ところが、想定していたより渡航費が高額ではなかったため、最終的に85,147円の残高が生じてしまった。この費用の使い道は、現在はコロナウィルスの影響のため見通せない部分もあるが、国内で開催される研究集会への出張費として使用していきたい。
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Remarks |
本研究と部分的に関連する形でオーストリアとの二国間交流事業(セミナー)を実施した。その報告を相手国機関の研究者とともにまとめ、ドイツ語圏の学術ポータルサイトで公開した。
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Research Products
(4 results)