2021 Fiscal Year Research-status Report
琉球と福建を結ぶ海上ルートの考古学的研究-遺跡出土中国陶磁の分析を中心として-
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18K01070
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
森 達也 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (70572402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 久米島 / 水中遺跡 / 福建 / 沖縄 / 古琉球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の調査研究は、昨年に引き続き新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の流行の大きな影響を受け、4月から9月頃までは出張を伴う調査がほとんど実施できなかった。10月以降に、沖縄県内の離島には、出張が可能となったため、本年度後半は特に久米島に重点を置いて調査・研究を実施した。久米島は、福建と那覇を結ぶ古琉球時代の航路上で極めて重要な位置を占めていることが、前年度までの調査・研究で確認されていたが、本年度はその実像をさらに明らかにすることに焦点を当てた。10月後半と11月初旬には、久米島に隣接する東奥武島周辺の海底に15世紀の中国陶磁が散在するオーハ島海底遺跡の水中調査を実施した。調査自体は沖縄県立埋蔵文化財センターが実施した海底分布調査であるが、研究代表者(森達也)は、本次科研の調査・研究の一環としてこの分布調査に参加し、遺物の大部分が15世紀初頭から前半の龍泉窯青磁で、碗が最も多く、次いで皿、盤が少量含まれ、それに少量の福建・詔武窯の白磁小皿が伴うという状況を確認した。この積み荷を運んだ船が、中国から渡来したものであるか、沖縄本島から渡来したのかについての検証が今後の課題として残っている。11月中旬には、久米島博物館と共同で具志川城の隣接地域にある田尻原遺跡の学術試掘調査を実施した。この調査地点に隣接する青名崎は具志川城築城以前にグスクが設けられたとの伝承があり、試掘を行ったが、小規模な石組遺構や焼土以外には、遺構・遺物は検出されなかった。人間の活動痕跡は僅かに認められるものの、グスクと関連する遺跡ではあるかどうかは明らかにすることができなかった。今後、この地点で試掘調査を継続するかどうか検討中である。2022年1月以降は、コロナ再流行により、出張調査は実施できなかった。なお、当初予定では本年度が最終年度であったが、コロナの影響により期間を1年延長することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の流行の大きな影響を受け、4月から9月頃までと、2022年1月から3月は出張を伴う調査が実施できなったために調査・研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の影響が認められるため、海外調査は実施できる見込みが立たないため、沖縄県内の調査を重点的に実施する予定である。今年度前半には、宮古島付近の来間島海底遺跡(15世紀末の中国陶磁散布)の遺物分布調査を実施する予定である。また、久米島でも陸上の発掘調査を検討している。次年度後半には今次研究成果をまとめた報告書を作成し、刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行により、出張を伴う調査・研究がわずかな期間しか実施できなかったため、研究期間を1年延長し、2022年度にこれまでに実施できなかった調査・研究を実施する。2022年度前半には宮古島付近の来間島海底遺跡の分布調査、久米島での発掘調査を実施し、後半には報告書を作成・印刷することにより予算を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)