2023 Fiscal Year Annual Research Report
Archaeological Research on the Maritime Route Connecting the Ryukyus and Fujian: Focusing on the Analysis of Chinese Ceramics Excavated from Archaeological Sites
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18K01070
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
森 達也 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (70572402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 琉球王国 / 古琉球 / 沈船遺跡 / 海上交通路 / グスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当初は2018年から2021年の4年間の予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響により2020年から21年にかけてほとんどフィールド調査が実施できなかったために2年間延長して、2024年3月まで継続した。 新型コロナウィルス感染症流行以前の、2018年、2019年には福州沖で発見された東洛島沈船引揚げ遺物の実測・撮影などを実施したほか、台湾馬祖列島、与那国島、西表島、石垣島などでのフィールド調査をおこなった。2020年から21年にはコロナの影響でフィールド調査が困難であったが、久米島の宇江グスクや具志川グスク出土陶磁器の資料調査を実施し、本研究での久米島の重要性を改めて認識した。そうした知見を基に、2021年11月には久米島の具志川グスクに隣接する田尻原遺跡の学術試掘調査を実施したが、明確な遺構、遺物は確認できなかった。また、同月に久米島に隣接する東奥武島周辺オーハ島海底遺跡の分布調査(実施主体:沖縄県立埋蔵文化財センター)に、研究代表者が本研究の一環として参加し、遺物の大部分が15世紀初頭の龍泉窯青磁で、碗が最も多く、次いで皿、盤が少量含まれ、それに少量の福建・詔武窯の白磁小皿が伴うという状況を確認した。2022年7月には、宮古島に隣接する来間島沖海底遺跡の分布調査を実施し、遺物の主体が15世紀末の景徳鎮窯青花磁器と龍泉窯青磁であることを確認した。 一連の調査・研究により、14世紀末の東洛島沈船、15世紀初頭のオーハ島海底遺跡、15世紀中葉の石垣島・名蔵シタダル遺跡、15世紀末の来間島沖海底遺跡という14世紀末から15世紀末の沈船資料の編年や陶磁組成の変化を明らかにすることができた。また、12世紀から16世紀にわたる福州から琉球に至る海上ルートの変遷やそのルートを通じて交易された陶磁器の産地や器種組成の変化、交易内容の変化を検討することが可能となった。
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