2019 Fiscal Year Research-status Report
古墳時代中期・畿内外縁地域における埴輪生産組織の内部構造および変遷過程の研究
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18K01074
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
犬木 努 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (40270417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古墳 / 埴輪 / 生産組織 / 工人 / 同工品 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019(令和元)年度に実施した調査研究は以下の通り(①~⑤)である。 ①久津川古墳群(京都府城陽市所在)出土埴輪の調査研究を行った。同古墳群に所在する車塚古墳出土円筒埴輪については、所蔵機関である城陽市教育委員会によって実測図が作成されているものはごく一部にとどまっていたが、今回、城陽市教育委員会の協力を得て、全ての円筒埴輪(51個体)について、本科研費で雇用したアルバイトによる実測図作成作業に着手した。実際の実測作業においては、研究代表者が指導を行い、逐一、実物埴輪と照合しながら全ての実測図のチェックを行っている。車塚古墳出土円筒埴輪の実測作業については、2020(令和2)年度も継続する予定である。②久津川古墳群に所在する芭蕉塚古墳出土形象埴輪の資料調査を行い、2019(令和元)年度中に全ての全体写真撮影、細部写真撮影、観察・計測作業が終了した。③近畿地方における埴輪製作者集団の分析を目的として、蛍光Ⅹ線分析のための埴輪試料採取を実施した。試料採取を行ったのは、大阪府羽曳野市に所在する誉田白鳥埴輪窯・野々上埴輪窯出土埴輪および同藤井寺市に所在する土師の里埴輪窯・土師の里南埴輪窯出土埴輪である。採取試料の蛍光Ⅹ線分析は2020(令和2)年度に実施予定である。④2018(平成30)年度に実施した、京都府立山城郷土資料館に所蔵されている金比羅山古墳(京都府宇治市所在)出土円筒棺についての調査研究成果が、2019(令和元)年度刊行の『山城郷土資料館報』第26号に掲載された。⑤日本考古学協会総会、埴輪研究会研究大会に参加して、本研究課題に関連する研究動向の把握と情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に行った調査研究の中心は、久津川古墳群に所在する、①芭蕉塚古墳出土形象埴輪の資料調査(全体写真撮影、細部写真撮影、観察・計測)および、②車塚古墳出土円筒埴輪の実測図作成作業・資料調査(全体写真撮影、細部写真撮影、観察・計測)であった。①については完了し、②について作業途中である。以上から、本研究課題については、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020(令和2)年度には、下記のような調査研究活動を行う。 ①京都府城陽市教育委員会が所蔵する久津川古墳群出土埴輪のうち、車塚古墳出土円筒埴輪の実測図作成および資料調査(全体写真撮影、細部写真撮影、観察・計測)を継続するとともに、新たに山道東古墳出土円筒埴輪の資料調査(全体写真撮影、細部写真撮影、観察・計測)を行う予定である。 ②京都府立山城郷土資料館が所蔵する金比羅山古墳出土円筒埴輪のうち、墳丘樹立分の円筒埴輪については調査未了のため、資料調査(全体写真撮影、細部写真撮影、観察・計測)を継続する予定である。 ③その他の機関が所蔵する関連資料の調査(写真撮影、観察・計測)も行う予定である。
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Causes of Carryover |
遠隔地に所蔵されている関連資料の調査に必要な旅費の使用額が予定より少なかったため、また、アルバイト料についても当初の予定より少ない支出となったため、次年度使用額が生じることとなった。いずれも、翌年度分の助成金と合わせて、適正に使用していきたい。
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