2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01077
|
Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
小山田 宏一 奈良大学, 文学部, 教授 (00780181)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 補強土工法 / 塢 / 堤 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画で、本年度は最終年度にあたるが、コロナ禍により一年延長した。 本年度、中国、韓国方面については、おもに報告書作成に向けてデータの収集・分析を実施した。とくに韓国では各事例の補強土工法の分析・検討を進めたほか、慶尚南道慶山市所月里遺跡から発見された6世紀の木簡に、ため池をあらわす「堤」の字が見られることに注目した。これまで、所月里の位置する琴胡江流域に展開した新羅水利開発の水源は、「堰」に類似する貯水施設である「塢」からダム式ため池の「堤」へ変遷すると想定していたが、所月里の木簡により、当初から「塢」と「堤」が併存していたが明らかになった。そこで「塢」についも、その土木技術を解明するとともに、「堤」との土木技術的差異を明らかにするという課題がうまれた。 国内では、大阪府狭山池と福岡県池田遺跡の調査研究を実施した。狭山池では、新しく行われた年輪年代の調査結果を踏まえ、古代の改修工程と樋について詳細に再検討した結果、樋取水部の構造、樋管の接合方法、堤の積み方等について、これまでの課題を解決する基礎的データを構築することができた。池田遺跡では、古代貯水池の受益範囲について、その地形環境調査と現在の水利慣行の聞き取り調査を実施して、古代の水利システムを復元する基礎的データを作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で最終年度にあたる本年度は、韓国研究者と連携し調査報告書をまとめる予定であった。しかしコロナ禍により、対面による韓国研究者との詳細な打ち合わせと、韓国での補足調査が実施できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であり、これまでの研究成果をまとめた調査報告書を作成する。ただしコロナ禍により対面で討論することは難しい。メール等を使って密に連携していく予定である。
|
Causes of Carryover |
調査報告書を作成するため
|
Remarks |
講演会資料 小山田宏一2021「狭山池を知り、もっと活かす」(大阪狭山市教育員会編『狭山池シンポジウム2019 再発見!狭山池からのめぐみ』記録集) 小山田宏一2020「東アジアにおける原の辻遺跡船着場突堤の土木技術」(長崎県埋蔵文化財センター編『令和2年度東アジア国際シンポジウム 土を盛り、石を築く』資料集)
|