2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of ancient DNA analysis in melon seed to discuss which fruit traits were prefered in change of the Japanese society
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18K01087
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田中 克典 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (00450213)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メロン / 種子 / 育種学 / 考古学 / 選抜 / 果実形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は作物に選抜が加えられたことを解明するために,遺跡から出土したメロンの種子遺存体を研究対象としてきた.前年度までの研究結果から,メロン仲間の種子遺存体に残存しているできるだけ多くのメロンDNAを情報として活用する必要性がでてきた.そこで,以下の課題に取り組むことにした.うち,今年度は後者の課題に取り組んだ. ・次世代塩基配列解析で現生メロンから種子遺存体分析用のバックデータを構築する. ・種子遺存体に残存するメロンDNAを多く解読できる次世代塩基配列解析法を見出す. 既報研究で葉緑体DNAの幾つかの領域の遺存が確認できている試料として,岡山県鹿田遺跡から出土したメロン種子を用いた.試料の時代は,弥生時代中期,古墳時代前期,11世紀,16世紀でそれぞれ,5粒からDNAを抽出し,次世代塩基配列解析法で残存しているDNAの塩基配列を解読した.それぞれの試料において解読された配列の数が85本から100本と,非常に少なく,既報と同様の結果であった (Nistelberger et al. 2016, Scientific Report; 等).これらの配列は,データベースとの照合により,メロンの葉緑体DNAおよび各DNAの遺伝子間領域が含まれていた.そこで,現在,これらの領域から,分類に利用できる領域を選抜する作業を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代塩基配列解析により,メロン種子遺存体に含まれるDNAが非常に少ないことがわかった.ただし,これらのDNAの配列をデータベース (アメリカ国立生物工学情報センター)への登録配列と照合したところ,弥生時代中期,古墳時代前期,11世紀,16世紀の各時代のメロン種子において,2割近くの配列は,葉緑体ゲノムと核ゲノムの幾つかの遺伝子間領域と相同性を示した.これらの配列は,メロン種子遺存体において遺存しやすい配列だと考えられたので,現生のメロンで解読を進め,分類に利用できる領域の特定を進めている.また,その成果は,関連学会で公開する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が本研究の最終年度なので,メロン種子遺存体において遺存していたDNA配列のうち,分類に適用できる領域について現生メロンを用いて明らかにして,成果として取りまとめる.また,遺跡から出土した種子は,試料に残存するDNAが生物分解や劣化で断片化しており,技術上,得られる情報量が少ない (Nistelberger et al. 2016, Scientific Report; 等).そこで,遺存している可能性が高い葉緑体ゲノム領域を中心に解析を進めつつ,果実の大きさ,味,色など,作物が選ばれる際に着目されていた特性に関連する核ゲノムの遺伝子領域についても,DNAの残存を確認する.
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