2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the optimum copper plate placement for traditional Japanese-style Shake roof
Project/Area Number |
18K01089
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 裕子 京都大学, 農学研究科, 研究員 (60506088)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | こけら葺屋根 / 葺込銅板の配置 / 銅元素分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は,こけら葺屋根を健全な状態で長持ちさせることのできる葺き方を明らかにすることであるが,ここでは特に,腐朽の抑制を期待して用いられる葺込銅板に着目し,その効果的な配置を検討するための手法を開発しようとした。 葺込銅板から,どの程度の期間で,どの程度の量の銅成分が,屋根にどう広がるのかを予測するために,屋根勾配および葺込銅板の位置が異なる6体の屋根モデルを使った実験と実際のこけら葺屋根の調査を行った。屋根モデルの葺足部分の銅元素量を,おおよそ3か月ごとに測定し,それを約2年間行った。その結果,屋根勾配が緩いほど,葺込銅板の軒先側端面と葺足先端の距離が近いほど屋根の銅元素量が多かった。また,屋根勾配が急で葺込銅板が葺足先端から2寸奥に配置した屋根モデルでは銅元素がほとんど確認されなかった。これらの結果を踏まえ,銅元素付着量の予測式を検討中である。 実際のこけら葺屋根の調査では葺き替えから約6年の屋根の葺足部分について銅元素量の測定を行い,最大で市販防腐処理木材の銅元素量の約20%程度の量が確認された。同屋根の葺き替え8年後の葺足の劣化状態は,所々で損耗が激しく葺足がなくなっている部分があり,10年で1足が飛ぶという現場の認識と一致するものであった。また別途設置していた施工後5年の屋根モデルを解体し,劣化状態や葺足の損耗,水のしみ上がり,銅元素分布の測定も行った。葺いてから10年以内で屋根の調査を行うことはほとんどなく,大変貴重なデータを取ることができた。さらに葺き替え後45年経過した屋根の東西南北4方位の平葺面について,軒先から棟までの銅元素分布を測定した。その結果,方位によらず軒先側の銅元素量が棟側よりも多く,軒先側から棟に向かって3分の2程度の高さまではほとんどの測定箇所で市販防腐処理木材と同程度かそれ以上の銅元素量が確認された。
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