2018 Fiscal Year Research-status Report
Py-GC/MS and radiocarbon dating of archaeological woods treated with lactitol
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18K01093
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
西本 寛 愛知大学, 経済学部, 准教授 (40609757)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性炭素年代測定 / 保存科学 / 糖アルコール / 熱分解GC/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
考古遺跡から出土する木質遺物の多くは、長期にわたる土壌埋没によって木質組織が劣化している。これを保存するために、常温・常圧下でも安定な薬剤の含浸処理が行われる。トレハロースやラクチトールといった糖アルコールも保存薬剤として使用されるが、これらの薬剤は炭素を含む有機化合物である。糖アルコールを含浸させることで遺物の保存が可能となるが、一方で放射性炭素年代測定を行ううえでは炭素汚染となる可能性が示唆される。本研究は、糖アルコールによる保存処理が放射性炭素年代測定に及ぼす影響の把握や、影響がある場合の正確な年代測定を行うための方法論の確立を目指すものである。 そこで、実際にトレハロースおよびラクチトールの放射性炭素濃度を測定し、木質遺物の年代にどのような影響を及ぼすのかを把握する。また、糖アルコール含浸木材の洗浄処理を行い、洗浄後の放射性炭素濃度を測定することで、糖アルコールの除去の可能性を探る。極微量でも糖アルコール由来が残存していると、遺物の放射性炭素年代に大きな影響を与えるため、一般的な洗浄処理では糖アルコールの完全除去は困難であることが予想される。そこで、木質遺物中に微量に残存する糖アルコールの定量方法を探る。糖アルコールの定量には熱分解GC/MSを用いる。 現状、分析試料の作成、前処理段階まで進んでいる段階であり、放射性炭素濃度の測定や熱分解GC/MSの測定は今後実施予定である。今年度は放射性炭素濃度測定と熱分解GC/MSに注力し、分析と並行して成果報告としての論文執筆や学会での研究発表を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、分析予定試料の作成、前処理を進めている段階である。すなわち、木材への糖アルコール(ラクチトールとトレハロース)の含浸処理、および糖アルコールの洗浄処理を実施している。含浸処理には数週間から数ヶ月必要であるため、試料の作成に時間がかかっている。糖アルコールの洗浄処理も、ソックスレー抽出のように比較的長い洗浄時間が必要であるため、洗浄作業にも時間を要している。 熱分解GC/MSについては、GC/MS装置自体は手配済みであるが、肝心の熱分解装置について当初目的としていた装置の入手に手間取り、分析が行えていない。先行研究により、木質遺物の熱分解装置としては加熱炉型が適していると考えられるため、早急に加熱炉型の熱分解装置を手配する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
分析試料の作成は概ね順調に推移しているため、今後は作成した試料の分析に注力する。具体的には、糖アルコールおよび木質遺物の放射性炭素濃度測定と熱分解GC/MSである。今年度中に放射性炭素濃度の測定と熱分解GC/MSを実施する予定である。熱分解GC/MSでは、正確な濃度測定のために最適な測定パラメータを明らかにする必要があるが、この作業にはある程度の時間が必要だと予想される。迅速に熱分解GC/MSを行い、今年度中に濃度測定のための検量線を作成する。 また、これらの分析と並行して研究成果報告のための論文執筆と学会での研究発表を実施する。ただし、成果報告は測定結果がある程度出揃うまではとりまとめることが難しいため、今年度から来年度にかけて成果報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では木質遺物および糖アルコールの熱分解GC/MSを実施する。GC/MS装置は確保しているが、熱分解装置は所有していないため、これを入手する必要がある。当該年度で熱分解装置を入手する予定であったが、当初予定していた装置の入手が間に合わなかったためその分の予算が次年度使用額として繰越となった。今年度は、購入ではなくレンタルによって熱分解装置を入手する予定であり、レンタルにかかる費用として予算を執行する予定である。
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