2020 Fiscal Year Research-status Report
大正期から昭和期における「皇室映画」の研究活用に向けた基礎調査
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18K01099
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
紙屋 牧子 玉川大学, 芸術学部, 非常勤講師 (20571087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 暢平 成城大学, 文芸学部, 教授 (20407612)
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30202146)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 映画 / 映像文化 / フィルム / アーカイブ / メディア / 天皇・皇族・皇室 / 天皇制 / 表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はCOVID-19感染拡大の影響により当初の予定を大幅に変更することになった。計画していた国内外のアーカイブにおける調査は限定的に実施し、インターネットを活用した文献調査、前年度までに収集した資料等の分析、論文執筆を進めた。成果発表の場としてオンラインによる研究会を開催し、「御大典映画」(1928年)製作をめぐる背景を考察する」というテーマで研究代表者の紙屋牧子が発表をおこない、研究分担者の高木博志がコメンテーターとして参加した。ほかに歴史学・映画学の専門家らが参加し、意見交換をおこなった(2021年3月31日)。さらに紙屋は、国立映画アーカイブの塚田嘉信コレクションを活用した調査研究の成果として、「草創期における映画と皇室との関わり:塚田嘉信が遺したものから考える」というテーマでの発表を、研究分担者として参加している科研費研究課題「塚田嘉信コレクションを起点に初期映画史を読みなおす」主催の研究会にておこなった(2021年3月24日)。また紙屋は、戦後の象徴天皇制とメディア表象を映画学の立場から考察するためのアプローチとして、「『やっさもっさ』と「講和」──ポスト占領期における男性・女性の闘争」(『渋谷実 巨匠にして異端』水声社、2020年)、「映画『祇園祭』を伊藤大輔の作家性から再考する──「傾向映画」との接続と非接続」(『人文學報』第116号、京都大学人文科学研究所、2021年)を執筆したほか、研究発表「大正・昭和初期映画館チラシ」から見えてくるもの」(早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点 公募研究「映画宣伝資料を活用した無声映画興行に関する基礎研究」主催の公開研究会)では、ノンフィルム(映画関連)資料をこれまで以上に活用した映画史研究の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響により当初の計画を大幅に変更することを余儀なくされたのが「やや遅れている」大きな要因である。とくに、当研究課題において例年実施してきた海外のアーカイブにおける調査は今般の状況下では実施が不可能であり、国内のアーカイブおいても利用が不可能または困難な状況も続いた。しかしながら可能な範囲で調査を進め、状況に応じたオンライン研究会の開催や論文執筆もおこない、従って、一定程度の研究計画を遂行し得たと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は前年度に実施できなかった国内外のアーカイブでの調査を計画しているが、海外出張については、COVID-19の感染拡大状況を注視し、計画の変更も視野に検討する。当面は前年度に引き続き、感染リスクを回避する方法での調査研究を進め、加えて、インターネット(オンライン)の特性を活かした、遠隔地の施設・専門家との研究交流・情報交換の促進を目指す。また、当研究課題に連続するテーマとして新たに「明治末期から戦中期までの映画に描かれた/描かれなかった天皇・皇族の表象」(基盤研究(C)/2021-2023年度)を開始したため、研究課題の連続性とぞれぞれのテーマの整合性を見極めながら両者の計画を有効に連携させた調査研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度に計画していた海外出張を、COVID-19の感染拡大状況の影響で実施できなかったことが大きな要因である。2021年度も今般の社会状況(COVID-19変異株の急速な流行やワクチンの普及状況)に応じて柔軟に計画を変更し、感染リスクを回避できる方法で調査研究および研究成果の発表を進めることとする。
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Research Products
(12 results)