2019 Fiscal Year Research-status Report
Material research of cultural properties using LIBS
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18K01100
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Research Institution | The Niigata Prefectural Museum Of History |
Principal Investigator |
西田 泰民 新潟県立歴史博物館, その他部局等, 専門研究員 (80172667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和宏 長岡造形大学, 造形学部, 准教授 (20566468)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 元素分析 / LIBS / ガラス / 陶磁器 |
Outline of Annual Research Achievements |
資料測定としては、LIBS装置を用いて、京都市内出土近世ガラス、長崎市内出土の近世ガラス、新潟県内産伝世品を中心とした陶器類計250点を対象に行った。当研究のガラス製品の分析で目指しているホウケイ酸ガラスの同定は当該資料では見いだすことができなかった。一方、これまで漠然と中国産と一括して見なされていた青色失透ガラス製装身具について、元素組成が異なるグループに分けられる見通しを立てることができた。また、近世・近代の新潟の陶器類の元素分析はこれまで行われておらず、各産地の組成特性を初めて明らかにすることができた。窯跡採取資料との比較を次年度行う。 国産メーカーのLIBS装置を試用し、これまで使用した米国製装置との測定値の違い、測定試料への影響を検討した。 19世紀初めの国産ホウケイ酸ガラスは、ヨーロッパの技術書からの情報に基づいて製作されたことは間違いないが、そのヨーロッパ産とみられるホウケイ酸ガラス製のデカンターが京都市内で出土している。その出土品の由来を明らかにするため、ドイツ、オランダで資料を実見したが、類似する資料は見当たらず、現地専門家からもヨーロッパ産ではない可能性を示唆された。 江戸時代に和訳されていた技術書、また19世紀初めの日本側史料にいくつかホウケイ酸ガラスの調合法が記載されていることから、それを参考に分担者の中村が復元の試みを開始した。次年度、復元されたガラスと出土品の分析値の比較を行う予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料の測定はほぼ予定通り行うことができた。ただし、年度末に予定していた江戸出土ガラスの実見、サンプル抽出は新型コロナウィルスの感染拡大の中、中止せざるを得なかった。同様の理由により、論文提出・期末試験終了後の学生アルバイトの雇用を行うことができず、データ処理を年度内に終了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、これまでのLIBSによる測定成果と蛍光X線による測定データの比較を行い、有効性や対象資料による特性を明らかにする。また、伝えられる調合法に基づいて実験的に復元されたホウケイ酸ガラスの分析値と伝世品・出土品のホウケイ酸ガラスの分析値を比較し、今後の近世のホウケイ酸ガラスの同定法を確立することを目指す。
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