2020 Fiscal Year Annual Research Report
Using Digital Technology to Preserve the Musical Tones of 18th and 19th Century Fortepianos for Future Use
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18K01104
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Research Institution | Musashino Academia Musicae |
Principal Investigator |
上田 順 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (30134779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 寿之 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (00790289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 古いピアノ / フォルテピアノ / 音色 / 楽器音響 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は以下の3点であり、所期の目的を達成している。 1.展示楽器の動態保存 楽器博物館の所蔵フォルテピアノは、完璧な管理の下で保管されており、特別な機会に注意深く修復・整調・調律を行う以外、おそらくほぼ全ての楽器は入手時の状態をそのまま保持している。歴史的な楽器としての価値を損なわないという目的に沿って、演奏はおろか触れることも禁止されている。しかし、歴史的価値の保持の為に演奏するための楽器としての価値は静かに失われつつある。使われていた当時からはかなり変化している現在の音色ではあるが、楽器として演奏に供するためにディジタル化して活用することは、現代の技術を活用した保存手法の一つといえる。楽器として活用できる形態で現状を維持(保存)できるということで、いわば動態保存と呼べる保存方法であり、この実現性を検証することが本研究の第一の目的である。 2.低コストのディジタル化 第1回の収録(録音)は保存状態が最も良く、構造的にも歴史的価値がある個体を取り上げて、楽器本来の音色を変えない範囲で可能な限りの修復を施した状態で実施している。これに対し、第2回以降では楽器に全く修復や整調・調律を施さずに現状のままで収録を実施し、ソフト処理だけ(低コスト)でどこまで第1回収録の結果に迫れるかを試みた。取り上げた個体は、①第1回と同レベルに状態が良い個体 ②音階は一応保持しているものの音高が大幅に狂っているスクェアピアノ。珍しい楽器ということで、③比較的状態の良い個体で現代ピアノを立てた形状の楽器 ④ハープピアノ。 3.新しい価値創造 計3回の様々な収録により、静的な研究対象であったフォルテピアノに、疑似的であるにせよ当該個体の音色に近い音響で演奏を楽しむという新たな価値を付加させられることを検証する。
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