2020 Fiscal Year Research-status Report
自然史系資料の適切な3Dデジタル標本化の指針及び標本データベースの構築
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18K01110
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Research Institution | Gunma Museum of Natural History |
Principal Investigator |
木村 敏之 群馬県立自然史博物館, その他部局等, 研究員(移行) (70469881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 3Dスキャン / デジタル標本 / コレクションマネジメント / 自然史系博物館資料 / 博物館 / クジラ類 / 骨格標本 / 化石標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画3年目にあたる本年度は本来であれば引き続き国内外の研究機関を訪問し,調査及び3Dスキャン作業を実施する計画であった.しかしながら新型コロナウィルス感染症感染拡大の影響により,区域をまたいでの移動や他機関への訪問が著しく制限を受け,本プロジェクトにおいても他機関での調査を断念せざるを得ない事態となった. そのため,本年度はこれまでの調査において得られたデータの整理・加工を中心として研究を進めた.研究を遂行する過程でのパイロットケースとして現生クジラ類骨格標本(特に鼓室胞・耳周骨)の3Dデジタル標本データベース構築に向けて作業を進めた.その結果として,これまでのところヒゲクジラ類については現生14種のうちの13種(セミクジラ科4種のうち4種,コセミクジラ科1種のうち1種,コククジラ科1種のうち1種,ナガスクジラ科8種のうち7種)のデータを得た.ハクジラ類では76種のうち67種(マッコウクジラ科1種のうち1種,コマッコウ科2種のうち2種,アカボウクジラ科23種のうち21種(ただし,4種は鼓室胞のみ),ガンジスカワイルカ科1種のうち1種,アマゾンカワイルカ科1種のうち1種,ヨウスコウカワイルカ科1種のうち1種,ラプラタカワイルカ科1種のうち1種,イッカク科2種のうち2種,マイルカ科37種のうち32種,ネズミイルカ科7種のうち5種)のデータを得た.合計で現生クジラ類全種の約9割のデータを得ている.ただし一部では細部について十分でないものもあるため,データ加工・処理方法の検討,あるいは今後標本が利用可能になった場合の再スキャンを行うことで,データ整備を進めていきたい.また残りの種についても今後のデータ取得に向けて所蔵機関の調査及び調査に向けた調整を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのところでは,実際のスキャン作業における技術的な課題は特に見当たらない.しかし,スキャンデータの取扱については各館ごとの認識が異なるとともに,十分なコンセンサスが得られていないため,取扱についての議論が必要である.特に当初予定していたタイプ標本については収蔵機関ごとに見解が異なり,コンセンサスを得ることは現時点では困難であると判断された.そのため特にデータベースを製作については現生クジラ類骨格標本を新たにパイロットケースとして設定することとした.しかしながら,新型コロナウィルス感染症の影響により区域を越えた移動に大きな制限があり,特に所属機関においては万一感染が確認された場合は,所属機関である博物館全体が休館になる可能性が高いなど,その社会的な影響は非常に大きい.したがって,訪問する側・受け入れ側双方において感染対策に万全を期す必要があり,現状では他機関を訪問し,調査を実施することが本年度は困難であった.また本年度予定していた海外機関への訪問も見送らざるを得なかった.この点では計画の進捗状況に関しては遅れていると言わざるを得ない.新型コロナウィルス感染症の状況を鑑み,最終年度の延長の申請を視野に入れて計画を遂行していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
本来の予定では,次年度以降も引き続き国内外の多くの機関において継続的なデータ収集,ならびに聞き取り調査を進めることでデータの蓄積を図っていく.特にこの過程では現生クジラ類骨格標本を対象としたスキャン作業を集中して進める予定である.また,これまで得られているデータについての加工・処理方法の再検討も進めることを検討している.また,今後の新型コロナウィルス感染症の状況次第だが,可能であれば海外機関での調査を進め,デジタルデータのマネジメントについての聞き取り調査,3Dスキャンデータの取得を進めていきたい.また,研究最終年度の延長を視野に入れて,今後の研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症感染拡大の影響により,区域をまたいでの移動や他機関への訪問が著しく制限を受け,本プロジェクトにおいても他機関での調査を断念せざるを得ない事態となった.本年度状況が改善されれば,他機関への調査を実施する予定である.ただし,状況次第では研究最終年度の延長を視野に入れている.
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