2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the policies of the 3D digitization of the natural history museum and a case study of building the 3D digital database of the specimen
Project/Area Number |
18K01110
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Research Institution | Gunma Museum of Natural History |
Principal Investigator |
木村 敏之 群馬県立自然史博物館, その他部局等, 研究員(移行) (70469881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 3Dスキャン / デジタル標本 / コレクションマネジメント / 自然史系博物館資料 / 博物館 / クジラ類 / 骨格標本 / デジタル標本データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3Dデジタル標本データベースを作製し,一般公開した.このデータベース製作は3Dデジタル標本を取り巻く現状について調査を行うためのパイロットケースとして実施したものである.デジタル標本データベースについては標本の公開に関しての標本所蔵館の調整及び新型コロナウィルス感染症拡大により国内・海外機関に収蔵される標本へのアクセスの理由により,対象を現生クジラ類とし,耳周骨・鼓室胞のデータベースを作成した.特に耳周骨・鼓室胞を対象とした点は,耳周骨・鼓室胞は化石標本として非常に産出しやすい部位であることからデータベースとして整備することで,実際に多くの学術的な研究にも貢献出来る可能性が高いという理由による. また,本研究では海外の自然史系博物館における3Dデジタル標本を中心としたデジタルデータの扱いについて現場の担当者・研究者へのメールによる聞き取り調査を継続して行った.この調査を通して,3Dデジタル標本について各館で適切な対応に向けた検討は行われているものの,現時点ではいずれも検討段階であり,具体的な対応は従来の3Dデジタル標本が一般的となる以前の規約をもとに取り扱われているという実像が明らかとなった.現在は博物館にとって3Dデジタル標本という新たな標本の利用形態と本質的に向き合い始めたという状況といえる.3Dデジタル標本を単なるデータとしてではなく,実物標本を補完する存在と考え,その博物館資料としての位置付けについて明確なコンセンサスを醸成させることが,今後の博物館収蔵資料の一層の価値の創出・活用促進にとって重要である事が改めて明らかとなった.本年度は研究最終年度として本研究によって得られた知見を取りまとめた論文を出版した.
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